今回のコラムでは凧型多面体に黄金化・白銀化を施してみます.菱形多面体の黄金化・白銀化では菱形面を2等分するには方法には長い方の対角線で2等分するものと短い方の対角線で2等分するものの2通りありましたが,凧型多面体の場合は長い方の対角線で2等分するしかありません.凧型二十四面体の黄金化により六方八面体の亜種,凧型60面体の白銀化により六方二十面体の亜種ができあがります.
金原博昭さんのお話ですと,凧型二十四面体の黄金化によって閉じた48面体ができるとのことでしたが,(その1)で行った計量から閉じた多面体になることはほとんどあり得ないと考えられました.閉じるとしたらそれは紙模型の工作誤差と思われるのですが,今回のコラムではそのことについて検証してみます.
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【1】閉じた多面体になるための条件
凧型24面体の黄金化多面体が閉じた多面体になるための条件は,k≦1として,4つの頂点の座標が
A(0,0,7−4√2)
B((−8+7√2)k/2,0,(−8+7√2)k/2)
C(0,(−8+7√2)k/2,(−8+7√2)k/2)
D((−9+10√2)/7,(−9+10√2)/7,(−9+10√2)/7)
になることです.
同様に,凧型60面体の白銀化多面体が閉じた多面体になるための条件は,k≧1として,4つの頂点の座標が
A(0,0,(9φ+13)/18)
B((6φ−5)k/6,0,(φ+6)k/6)
C((6φ−5)k/60cos72°,(6φ−5)k/60sin72°,(φ+6)k/6)
D((17φ+20)/66,(17φ+20)/66tan36°,(37φ+17)/66)
になることです.
kの値を変えたとき,AB/ADと∠BADがどのように変化するかを調べてみました.
[1]AB/AD
[2]∠BAD
凧型24面体(緑),凧型60面体(黄)のグラフを描いてみると,∠BAD=33.8915のグラフには交点がないことがわかります.一方,∠BAD=40.7895のグラフに交点が出現することがわかります.これは凧型24面体の黄金化は不可能,凧型60面体の白銀化は可能であることを意味しています.
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【2】二面角関数
菱形多面体では二面角関数は簡単な形に表せました.それに対して,凧型多面体では簡単な形にはならないので,数値的に二面角δの変化を調べてみることにしました.
二面角が補角となる多面体が存在することは明らかですが,黄金凧型と白銀凧型は相互補完的な関係にはないのです.
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