■n次元平行多面体数(その107)

【1】ボロノイ細胞の形

 n次元ボロノイ細胞の決定に関与する基底ベクトルは2^n−1個あり,したがって面の数は最大で2(2^n−1)個であることはわかったが,面の形はどうなるのだろうか?

 ボロノイベクトルにはボロノイ細胞のn−1次元超平面の中心を通過するもの,ボロノイ細胞の角(n−2次元超平面,・・・)を通過するなどがある.角を通るベクトルもごくわずかのところでボロノイ細胞のn−1次元面に関与していないだけなので,面心を通るベクトルと少なくとも同じ程度に重要である.

 たとえば,vi(i=1-n)はn−1次元面の面心を通るのだが,v0は2次元でも3次元でも頂点(0次元面)を通る.組み合わせ的方法によって,ボロノイベクトルが通る位置とその数を求めてみよう.

[1]2次元の場合(v0+v1+v2=0)

点:v0

辺:v1,v2

[2]3次元の場合(v0+v1+v2+v3=0)

点:v0

面:v1,v2,v3

辺:v1+v2,v2+v3,v1+v3・・・この図形には平行な辺(1次元面)が3組ある

[3]4次元の場合(v0+v1+v2+v3+v4=0)

点:v0

胞:v1,v2,v3,v4

面:v1+v2,v1+v3,v1+v4,v2+v3,v2+v4,v3+v4・・・この図形には平行な面(2次元面)が6組ある

辺:v1+v2+v3,v1+v2+v4,v1+v3+v4,v2+v3+v4

[4]n次元の場合(v0+v1+v2+・・・+vn=0)

 gkをn次元ボロノイベクトルのk次元面の数とし,構成要素を

  (g0,g1,・・・,gn-2,gn-1)

とすると

gn-1:nC1=n

gn-2:nC2=n(nー1)/2・・・この図形には平行なn−2次元面がgn-2組ある

g1 :nCn-1=n

g0 :nCn=1

計  :2^n−1

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 ボロノイ細胞のn−1次元面の数は2(2^n−1)個あり,それらの形はn−2次元面の退化・非退化によって決まってくる.

 3次元の場合,6組の平行な辺によって切頂八面体が定められることになるのだが,

点:v0             → 六角形

面:v1,v2,v3        → 六角形

辺:v1+v2,v2+v3,v1+v3 → 四角形

となり,4組(8枚)の六角形面と3組(六枚)の四角形面からなる14面体が得られる.3次元空間を充填するとき,切頂八面体は各頂点の周りに4個ずつ集まる.1点に4個の多面体が会すると頂点や辺だけで接している多面体がなくなり,ボロノイ分割に対して安定となる.

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 4次元の場合は

点:v0                         → 切頂八面体

胞:v1,v2,v3,v4                 → 切頂八面体

面:v1+v2,v1+v3,v1+v4,v2+v3,v2+v4,v3+v4→六角柱

辺:v1+v2+v3,v1+v2+v4,v1+v3+v4,v2+v3+v4→六角柱

となり,5組(10個)の切頂八面体と10組(20個)の六角柱からなる30胞体となる.これはケルビンの立体の4次元版で,各頂点の周りに5個ずつ集まる.

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