■n次元平行多面体数(その106)
【1】ボロノイベクトル
ここでは,n次元格子の幾何学的分類をボロノイ細胞を使って考えるのだが,ボロノイ細胞の決定に関与するベクトルをボロノイベクトルと呼ぶことにすると,n個の独立なベクトル
v1,v2,・・・,vn
あるいは,それらの和が
v0+v1+v2+・・・+vn=0
を満たす1次従属なベクトルv0を加えたn+1個のベクトル
v0,v1,v2,・・・,vn
でボロノイ細胞を決定することができる(v0をひとつ追加して考えることで,重要な進歩をもたらすことができる).
ボロノイベクトルは,vと−vを同じベクトルと考えると
m0v0+m1v1+m2v2+・・・+mnvn (miは0または1)
で表すことができるのだが,miは同時に0または1であってはならない.また,たとえば,3次元の場合(v0+v1+v2+v3=0)では
v0+v3=−(v1+v2)
のようにそれを表すベクトルは2つずつある.したがって,ボロノイベクトルは
(2^(n+1)−2)/2=2^n−1
個あることになる.
−1を掛けたものを含めると2(2^n−1)個あり,ボロノイ細胞の2(2^n−1)個のn−1次元平行面に対応する.そのため,2次元格子の多くについてボロノイ細胞は6角形,3次元格子の多くについてボロノイ細胞は14面体となるのである.
このことは高次元の場合に一般化できて,4次元格子では30胞体,5次元格子では62房体になる.fkをn次元多胞体のk次元面の数とし,
(f0,f1,・・・,fn-2,fn-1)
を構成要素とするn次元正多胞体で,n−1次元胞数fn-1を求めると
fn-1(n−1次元面の数)
n=2 f1=6
n=3 f2=14
n=4 f3=30
n=5 f4=62
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