■fベクトルの見積もり(その11)
巡回多面体は単体的多面体である.
n次元コンパクト凸多面体(頂点数f0)のfjに関するモツキンの上限予想とは,多くとも頂点数f0のn次元巡回多面体cyclic polytopeのそれであるというものである.=f0頂点のn多面体の中で,もっとも多い面をもつのは巡回多面体である.
fj≦(頂点数f0のn次元巡回多面体cyclic polytopeのfj)
この上限予想はマクマレンによって1970年に証明され(マクマレンの上限定理),その後,スタンレーによって可換環論的再証明が与えられている.そこでは,fベクトルとhベクトルの関係が母関数を使って大変見通しよく説明することができている.
ファセット数は
n=2kのとき,fn-1=f0/(f0−k)・(f0−k,k)
n=2k+1のとき,fn-1=2(f0−k−1,k)
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[1]k個以下の頂点集合が面を構成しているd多面体をk近傍的d多面体という.[d/2]近傍的な多面体は,d次元単体とd次元巡回多面体であるが,マクマレンの有名な上限定理は,近傍的な多面体を元に構成されていて,n頂点のd多面体の中で最も多い面数をもつのは近傍的な多面体で,とくに巡回多面体より多くのファセットをもつことはできないのである.
[2]dゾーン多面体では
fk≦(d,k)f0
という関係式が成り立つ.
[3]n次単体的多面体に対しては,デーン・サマービル関係式
(−1)^(n-1)fk=Σ(k,n-1)(−1)^j(j+1,k+1)fj
が成り立つ.また,このデーン・サマービル関係式の書き方はいくつかあるが
Σ(0,k)(−1)^k-j(n−j,n−k)fj-1=Σ(0,n-k)(−1)^n-k-j(n−j,k)fj-1
fk-1=Σ(k,n)(−1)^n-j(j,k)fj-1
[4]n次単体的多面体に対するデーン・サマービル関係式から,
fk-1=Σ(k,n)(−1)^n-j(j,k)fj-1
とくに
2fn-2=nfn-1
を導くことができる.
[5]n次単体的多面体では,0≦k≦[(n−3)/2]に対して
fk<fn-2-k
fk≦fn-1-k
が成り立つ.
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[雑感]dゾーン多面体では
fk≦(d,k)f0
という関係式が成り立つことを忘れていたため,長々しい試行錯誤になっ手しまったが,オーバーフローの見積もりは計算する前から予言できることのようだ.
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