(その6)で作成したエンゲルの空間充填38面体の概形を少し変形させると,真ん中の隙間や外側の窪みも消失して,ますます空間充填18面体に近づいてくる.
このことから空間充填38面体が空間充填18面体の6等分と関係していることはほぼ確かといえよう.18面体を3等分し,そのあとの2等分はプロペラのようにひねって切るのであるが,今回のコラムではひねり角を計算してみることにしたい.
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【1】考察(その1)
そのためにはまず,38面体のx=y=z軸がどこにあるのかを探さなければならない.(その1)では頂点数70の空間充填38面体(26^122^116^112^16^45^44^143^12)において,(0.217,0.1468,0.015)を38面体の中心として計算したが,頂点の空間座標を(0,0,0)を中心とするものに改めると
1 .283005 .879516 -.0157894
2 .0637208 .875864 -.473788
3 .053875 .870852 -.489505
4 .0397334 .859287 -.507711
5 .033 .8532 -.5158
6 .0262668 .845112 -.521887
7 .0121255 .826906 -.533452
8 2.27909E-03 .811188 -.538464
9 -.217005 .35319 -.542116
10 -.429074 -.0927318 -.542657
11 -.44137 -.143839 -.517435
12 -.442 -.1468 -.5158
13 -.445606 -.169334 -.500858
14 -.445787 -.170692 -.49988
15 -.446132 -.174277 -.497023
16 -.447088 -.221255 -.452056
17 -.447088 -.31854 -.354772
18 .0330002 .1032 .2342
19 .513088 .692172 .65594
20 .513088 .789456 .558656
21 .512132 .834423 .511677
22 .511787 .837278 .508094
23 .511606 .83826 .506731
24 .508 .8532 .4842
25 .50737 .854836 .481237
26 .495075 .880056 .430132
27 .502279 .875864 .442188
28 .511577 .868169 .461607
29 .511606 .86814 .461669
30 .522394 .8532 .484199
31 .526267 .847113 .492289
32 .533 .831047 .506353
33 .552912 .778749 .54794
34 .555276 .771447 .552877
35 .60677 .6032 .660429
36 .62913 .52494 .70713
37 .283 .1032 -.0158
38 -.0631301 .52494 -.73873
39 -.0407708 .603199 -.69203
40 .0107249 .771449 -.584476
41 .0130885 .778749 -.57954
42 .0329994 .831046 -.537953
43 .0397334 .847113 -.523889
44 .0436064 .8532 -.5158
45 .0543941 .86814 -.493268
46 .0544233 .868169 -.493207
47 .0542192 .86909 -.491949
48 .0121325 .825742 -.53456
49 -.148323 .434953 -.743525
50 -.198223 .380677 -.744932
51 -.199348 .379495 -.744925
52 -.194336 .395211 -.735079
53 -.190144 .407268 -.727875
54 -.0981103 .603191 -.634698
55 -4.92559E-03 .799132 -.542657
56 -.217 .353201 -.739161
57 -.335894 .103199 -.634694
58 -.44036 -.146799 -.515801
59 -.441371 -.14976 -.514165
60 -.445577 -.169395 -.500829
61 -.215365 .35616 -.740171
62 -.202031 .375792 -.744377
63 -.20108 .377091 -.744587
64 -.43993 -.31854 -.36193
65 -.444725 -.228554 -.447122
66 .621972 .52494 .714288
67 .533 .6032 .7342
68 .552912 .681459 .645229
69 .512125 .835548 .510495
70 .56007 .68146 .63807
x=y=z軸に近接する頂点を探すと,最も近接しているのが頂点35,次いで頂点17,19,36,64,66,68,70のグループ,その次が頂点16,18,20,33,34,37,65,67のグループである.
また,x=y=z軸に直交するx+y+z=0平面に近接する頂点を探すと,最も近接しているグループが頂点39,40,54,次いで頂点8,38,41,55のグループ,その次が頂点4,5,6,7,18,37,42,43,44,48のグループである.
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【2】考察(その2)
これでx=y=z軸とx+y+z=0平面の大まかな位置がわかり,冒頭に掲げた中川宏さんの紙模型の正しさが確かめられた.
ひねり角のキーとなるのは平面1と平面18の二面角である.この二面角を計算してみると60.3652°となった.このことから(その6)で示した空間充填18面体の3等分体にある赤い線は,二面角が60.3652°になる線と思われるが,赤い線と黒い線の角度を計算すると9.8246°となった.
計算に用いたエンゲルの論文のデータは有効桁数の少ないものであるから,この値は信頼性が高いとはいえない.写真と比べると少し小さいようにも見えるが,ちなみに写真の赤い線と黒い線の角度は12.2834°となった.
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