今回のコラムでは菱形十二面体を黄金化した凸24面体と凹24面体,菱形三十面体を白銀化した凸60面体と凹60面体の二面角についてまとめてみたいと思います.
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【1】菱形多面体の頂点と二面角
菱形の鋭角(acute)m個と鈍角(obtuse)n個が集まる頂点をamonで表すことにすると,菱形の鋭角と鈍角の和は
a+o=180°
ですから,頂点に4つ以上の鈍角が集まることは不可能です.頂点に集まる角がすべて鈍角である場合はo3で,菱形の鈍角が120°より小さいことが必要になります.
o=120°(a=60°)の菱形では平面充填形となってしまいますから,o3を有する菱形多面体の面は,正三角形を2個つなげた菱形(対角線の長さの比が1:√3)よりも太っていることが必要で,黄金比や1:√2の菱形などがその候補となるというわけです.
また,この菱形(鋭角が60°より大きい)が頂点に集まる角がすべて鋭角である場合は最大1頂点に5枚ですから,a3またはa4またはa5ということになります.また,鈍角と鋭角が混ざっている頂点がある場合,a+o=180°ですから,a1o1,a2o2は存在し得ず,a3o1,a2o1,a1o2のみが可能となります.
実際には
扁長菱面体:a3=2,a1o2=6
扁平菱面体:a2o1=6,o3=2
菱形十二面体:a4=6,o3=8
菱形十二面体(第2種):a4=2,a3o1=4,a1o2=4,o3=4
菱形二十面体:a5=2,a3o1=10,o3=10
菱形三十面体:a5=12,o3=20
のようになっています.
菱形三十面体からあるゾーン(菱形の連なった帯)を抜き取って押しつぶすと菱形二十面体,菱形二十面体からあるゾーンを抜くと菱形十二面体(第2種)になるので,これらは各面の対角線の長さの比が黄金比の菱形からなる一連のゾーン多面体と考えることができます.菱形30面体→菱形20面体の過程でいくつかのa5は保持されるのですが,菱形20面体→菱形12面体(第2種)の過程ですべて消失してしまいます.そして,4個のo3だけが最後まで遺残します.
黄金菱面体 白銀菱面体
頂角 63.4350 70.5288
a3 72 75.5227
a2o1 36,144 60,120
a1o2 72,108 75.5227,104.477
o3 144 120
a4 112.456 120
a3o1 108,144 ×(124.101,144.16)
a5 144 ×(164.478)
a3とa1o2,o3とa2o1では同じ二面角が出現していますが,黄金菱面体ではさらにa5とa3o1,o3,a2o1が同じになります.
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【2】黄金化による二面角
前節より,長い対角線の黄金化による凸24面体のO3の二面角は144°,短い対角線の黄金化による凹24面体のa4の二面角は112.456°になります.
凸24面体には144°のほかにもうひとつの二面角があって,それが151.281°です.凸24面体は正八面体(二面角109.471°)の各面に二面角144°(底面に対する二面角20.9052°)の三角錐を貼り付けたものですから,
109.471°+2×20.9052°=151.281°
というわけです.151.281°の凸部は凹60面体にぴったりはまりこむはまりこみます.
一方,凹24面体にも112.456°のほかにもうひとつ二面角があります.凹24面体は立方体の各面に二面角112.456°(底面に対する二面角51.8273°)の四角錐を貼り付けたものですから,
90°+2×51.8273°=193.655°
360°−193.655°=166.345°
より,166.345°になります.
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【3】白銀化による二面角
長い対角線の白銀化による凹60面体のO3の二面角は120°,短い対角線の白銀化による凸60面体のa5の二面角は164.478°になります.
凹60面体には120°のほかにもうひとつの二面角があって,それが151.281°です.凹60面体は正二十面体(二面角138.19°)の各面に二面角120°(底面に対する二面角35.2644°)の三角錐を貼り付けたものですから,
138.19°+2×35.2644°=208.719°
360°−208.719°=151.281°
というわけです.151.281°の凹部は凸24面体にぴったりはまりこむはまりこみます.
一方,凸60面体にも164.478°のほかにもうひとつ二面角があります.凸60面体は正十二面体(二面角116.565°)の各面に二面角146.478°(底面に対する二面角13.2825°)の五角錐を貼り付けたものですから,
116.565°+2×13.2825°=143.13°
になります.
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