■黄金比の眠るほこら(その22)

  [参]五輪教一「黄金比の眠るほこら」,日本評論社

に,チャップルの定理と関連して,不定方程式x^2−y^2=2xyの整数解の紹介がある.

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【1】2次曲線のパラメータ表示例

 原点を中心とする半径1の円の円周上の点を(x,y)とすれば,第3の変数θを媒介として,x=cosθ,y=sinθと表されます.θは(x,y)と(0,0),θ/2は(x,y)と(−1,0)を結ぶ直線とx軸とのなす角を表しています.

 さらにt=tan(θ/2)とすると

tan(θ/2)=sinθ/(1+cosθ),

cosθ=(1−t^2)/(1+t^2),

sinθ=2t/(1+t^2)より,

x=±(1−t^2)/(1+t^2),

y=(2t)/(1+t\2)   (−1≦t≦1)

と表すことができます.

 単位円上のすべての有理点(座標x,yが有理数であるような点)は,x=±(1−t^2)/(1+t^2),y=(2t)/(1+t^2)とx=−1,y=0です.このように,円の有理点全体は1つの変数tによって一意化できますが,円ばかりではなく,現在では2次曲線に1つでも有理点があると実は無限に有理点があることがわかっています.2次曲線は有理点を無限のもつか,1つももたないかのどちらかです.実際,t=m/nを代入して展開すると,

x=±(m^2−n^2)/(m^2+n^2),

y=2mn/(m^2+n^2)

となります.したがって,ピタゴラス数(a^2+b^2=c^2:a,b,cは整数)の組み合わせは,a=m^2−n^2,b=2mn,c=m^2+n^2によって,すべて導き出せることがおわかり頂けることでしょう.

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【2】チャップルの定理

 外接円と内接円の中心間の距離をdとおくとき、R^2−2Rr=d^2が成り立っています(チャップルの定理またはオイラーの定理).

[Q]x^2−2xy=z^2の整数解を求めよ.

[A]x^2−2xy+y^2=y^2+z^2

   (x−y)^2=y^2+z^2

[1]x−y=m^2+n^2,y=2mn,z=m^2−n^2

^   x=m^2+2mn+n^2,y=2mn,z=m^2−n^2

[2]x−y=m^2+n^2,z=2mn,y=m^2−n^2

^   x=2m^2,z=2mn,y=m^2−n^2

→(x,y,z)=(8,3,4),(9,4,3),(18,5,12),(25,12,5),・・・

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