今回のコラムでは,中川宏さんにお願いして正五角形2枚と黄金比長方形10枚,黄金比三角形10枚からなる22面体を木工製作していただくことになりました.
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【1】黄金比22面体の木工製作
この22面体の二面角には121.717°と148.283°の2通りあります.また,正五角形の1辺の長さを1とした場合の正五角形面間距離は2.25277と計算されます.
すでに知られた多面体とは思われますが,名前を知りません.正五角形も黄金比長方形も黄金比三角形もすべて黄金比系ですから,黄金比22面体と勝手に呼びたいと思います.
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【2】雑感
前回のコラムで菱形十二面体の黄金化と菱形三十面体の白銀化を設計するついでに計算したのがこの多面体である.2つの二面角121.717°と148.283°には黄金化,白銀化にみられたような相互補完的な関係が認められなかったことから青銅化と題したが,これはこれでなかなか趣きのある多面体である.
なお,コラム「5回対称性と準周期的結晶」において,小菱形12・20面体[3,4,5,4]の変形である多面体を木工製作したことがある.その際,長方形面が黄金比長方形になるように切稜したが,それは正20面体の切頂・切稜多面体であって,ここで紹介した多面体とは異なるものである.
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