■E8格子とひも理論(その10)
量子統計力学では,
[1]ポリアの壷のような量子状態が与えられていて,壷は区別できるが粒子は区別できない
[2]エネルギーの低い状態からほぼ順番に素粒子によって占められる
[3]ある状態に1個しか入れない場合と,何個でも入れる場合がある.
エネルギー準位:e1,e2,e3,・・・
量子状態の個数:g1,g2,g3,・・・
粒子数 :n1,n2,n3,・・・
===================================
【1】フェルミ・ディラック分布
ある量子状態に1個しか入れない場合,gk個の状態をnkこの区別できない粒子が占める仕方は,選ばれた量子状態数=粒子数となるから
(gk,nk)=gk!/nk!(gk−nk)!
すべてのエネルギー準位にわたって積をとると,全場合の数Gは
G=Π(gk,nk)
全粒子数N,全エネルギーEは
N=Σnk,E=Σnkek
全粒子数,全エネルギーを固定した条件下で,Gを極大化する.
d(logG)=dG/G=−Σ{lognkdnk−log(gk−nk)dnk}
ここでは,スターリングの公式
logx!〜xlogx→d(logx!)〜(logx)dx
を用いている.
さらに,ラグランジュの未定乗数法を用いて,
Σ{lognk/(gk−nk)+α+βek}dnk=0
が得られるから,
lognk/(gk−nk)=exp(−α−βek)
nk=gk/{exp(α+βek)+1}
それぞれの量子状態の平均粒子数は
nk/gk=1/{exp(α+βek)+1}
また,統計力学的にα=−μ/kT,β=1/kT,kはボルツマン定数なので,多数のN個の粒子をk=0〜∞までの量子状態に配置したとき,それぞれの粒子がk番目の量子状態に配置する確率は
1/N・1/{exp(ek−μ)/kT+1}
N=Σ1/{exp(ek−μ)/kT+1}
===================================
【2】ボーズ・アインシュタイン分布
ある量子状態に制限なしに入れる場合,gk個の状態をnkこの区別できない粒子が占める仕方は,
<gk,nk>=(gk+nk−1)!/nk!(gk−1)!
すべてのエネルギー準位にわたって積をとると,全場合の数Gは
G=Π<gk,nk>
全粒子数,全エネルギーを固定した条件下で,Gを極大化する.
d(logG)=dG/G=−Σ{lognkdnk−log(gk+nk)dnk}
さらに,ラグランジュの未定乗数法を用いて,
Σ{lognk/(gk+nk)+α+βek}dnk=0
が得られるから,
lognk/(gk+nk)=exp(−α−βek)
nk=gk/{exp(α+βek)−1}
それぞれの量子状態の平均粒子数は
nk/gk=1/{exp(α+βek)−1}
以下,同様に
1/N・1/{exp(ek−μ)/kT−1}
N=Σ1/{exp(ek−μ)/kT−1}
===================================