■フィボナッチ数列の母関数(その1)
隣り合う2項の和が次の項となる数列
1,1,2,3,5,8,13,・・・
はフィボナッチ数列の名で有名ですが,フィボナッチ数列{Fn}の通常型母関数f(x)は
f(x)=F0+F1x+F2x^2+F3x^3+・・・
xf(x)= F0x+F1x^2+F2x^3+・・・
x^2f(x)= F0x^2+F1x^3+・・・
また,Fn =Fn-1 +Fn-2 より
f(x)=x/(1−x−x^2)=ΣFnx^n
=1+x+2x^2+3x^3+5x^4+8x^5+13x^6+・・・
と簡単な式になります.
ここで,分母(1−x−x^2)は黄金比と関係しているわけですが,実際,フィボナッチ数列の隣り合う2項の比は黄金比に収束することはよく知られています.
Fn/Fn-1→φ (n→∞)
母関数は強力な発見手段であり,整数や数列の性質を調べるのにベキ級数の問題に翻訳することによって答えを見つけることができるよい例となっています.
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【補】黄金比
黄金比φは,実は2次方程式x^2−x−1=0の根であり,φ=(√5+1)/2=1.618です.
黄金比φには多くの性質があり,
1,φ,φ^2,φ^3,φ^4,φ^5,・・・という等比数列を考えると,
1+φ=φ^2ですから
φ^n=φ^n-1+φ^n-2
ここで,ガウス記号[x](xを超えない最大の整数)を用いると,数列{[φ^n-1]}の各次数に対応して得られる整数列は
1,1,2,3,5,8,13,・・・
すなわち,フィボナッチ数列{Fn }となります.
また,初項1,第2項3のフィボナッチ数列
1,3,4,7,11,18,・・・
はリュカ数列と呼ばれています.リュカ数列はフィボナッチ数列と同じ漸化式をもち,連続する2つの項の比は黄金比に近づきます.
リュカはフィボナッチ数列,リュカ数列を用いてメルセンヌ数(2^n−1)が素数であるかどうかを判定し,(2^127−1)が素数であることを示しています(1876年).リュカの素数判定法はメルセンヌ数が素数であるか否か判定する非常に能率的なアルゴリズムとなっていて,リュカテストの効率のよさのおかげで最近の素数の世界記録はすべてメルセンヌ素数が独占しています.
さらに,1つの項の和がその前の3つの項の和になっているFn =Fn-1 +Fn-2 +Fn-3 で定義される数列
1,1,1,3,5,9,17,・・・
は,フィボナッチ数列の拡張とみなせるので,フィボナッチ(Fibonacci)をもじってトリボナッチ(Tribonacci)数列と呼ばれます.
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