■奇数ゼータと杉岡の公式(その31)

 今回のコラムでは(その30)を補足説明したいと思います.

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【1】ゼータ関数とガンマ関数

 ゼータ関数とガンマ関数との間に

  ζ(x)=1/Γ(x)∫(0,∞)t^(x-1)/(exp(x)-1)dt

  ζ(x)=1/(1-2^(1-x))Γ(x)∫(0,∞)t^(x-1)/(exp(x)+1)dt

が成り立ちます.まず最初にこれらを導いてみましょう.

  Γ(s)=∫(0,∞)t^(s-1)exp(-t)dt

にt=nxを代入するならば

  Γ(s)/n^s=∫(0,∞)x^(s-1)exp(-nx)dx

が得られる.この式のnについての総和をとるなら

  ΣΓ(s)/n^s=Σ∫(0,∞)x^(s-1)exp(-nx)dx

  =∫(0,∞)x^(s-1)exp(-x){1+exp(-x)+exp(-2x)+・・・}dx

  =∫(0,∞)x^(s-1)exp(-x)/(1-exp(-x))dx

1+x+x^2+x^3+・・・=1/(1−x)

  =∫(0,∞)x^(s-1)/(exp(x)-1)dx

これより

  Γ(s)ζ(s)=∫(0,∞)x^(s-1)/(exp(x)-1)dx

が得られる.

 また,交代級数

  φ(s)=1−1/2^s+1/3^s−1/4^s+・・・=Σ(-1)^(n-1)/n^s

を考えます.負項を正項に変えて,あとでその2倍を引きます.

  φ(s)=(1+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・)−2(1/2^s+1/4^s+・・・)

  =(1+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・)−2^(1-s)(1+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・)=(1−2^(1-s))ζ(s)

となります.

  ΣΓ(s)(-1)^(n-1)/n^s=Σ∫(0,∞)x^(s-1)(-1)^(n-1)exp(-nx)dx

  =∫(0,∞)x^(s-1)exp(-x){1-exp(-x)+exp^(-2x)-・・・}dx

  =∫(0,∞)x^(s-1)exp(-x)/(1+exp(-x))dx

1−x+x^2−x^3+・・・=1/(1+x)

  =∫(0,∞)x^(s-1)/(exp(x)+1)dx

 これより

  Γ(s)ζ(s)(1-2^(1-x))=∫(0,∞)x^(s-1)/(exp(x)+1)dx

が得られる.

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【2】ベルヌーイ数とオイラー数

[1]ベルヌーイ数

 有名なベルヌーイ数列{Bn}の指数型母関数は

  x/(exp(x)−1)

で与えられます.すなわち,ベルヌーイ数は

  x/(exp(x)−1)

=B0/0!+B1/1!x+B2/2!x^2+B3/3!x^3+・・・

=ΣBnx^n/n!

で定義される有理数で,係数Bn はベルヌーイ数と呼ばれます.

 容易にわかるように

  lim(x→0)x/(exp(x)−1)=1

が成立します.

 具体的に係数Bnを求めてみましょう.定義より,ベルヌーイ級数はべき級数

  (exp(x)−1)/x=1+1/2!x+1/3!x^2+1/4!x^3 +・・・

の反転級数と考えることができます.

  exp(x)=1+1/1!x+1/2!x^2+・・・

ですから

  x/(exp(x)−1)=x/(x+x^2/2!+x^3/3!+・・・)

  =1/(1+x/2!+x^2/3!+・・・)

  =1-(1+x/2!+x^2/3!+・・・)+(1+x/2!+x^2/3!+・・・)^2-・・・

  =1-1/2x+1/6x^2-1/30x^4+・・・

これよりB0=1,B1=−1/2で

  x/(exp(x)−1)−B1 /1!x=x/2・(exp(x)+1)/(exp(x)−1)

は偶関数ですから,奇数項は第一項以外は0で,偶数項はB2=1/6,B4=−1/30,B6=1/42,B8=−1/30,B10=5/66,B12=−691/2730,B14=7/6,B16=−3617/510,B18=43867/798であとは分子が急速に大きくなり,たとえば,B32=−7709321041217/510,B34=2577687858367/6です.分母は必ず6で割り切れます.

 ベルヌーイ数については,再帰公式

  (B+1)^n-B^n=0

が成り立ちます.ただし,2項展開してからB^nをBnで置き換えることにします.また,Bn(x)はベルヌーイ多項式で,0での値Bn=Bn(0)はベルヌーイ数と呼ばれています.

[2]オイラー数

 ベルヌーイ数と似たものにオイラー数やタンジェント数があります.オイラー数は

  sechx=ΣEn/n!x^n

 =E0/0!+E2/2!x^2+E4/4!x^4+・・・

で,べき級数

  coshx=1+1/2!x^2+1/4!x^4+1/6!x^6+・・・

の反転級数として定義されます.

 オイラー数では再帰公式

  (E+1)^n-(E−1)^n=0

が成り立ちます.

  E0=1,E2=-1,E4=5,E6=-61,E8=1385,E10=-50521,・・・

  E1=E3=E5=・・・=0

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