■イントロダクション(補遺)
おそらく最も重要な多面体の問題は,一般の(単体的でない)多面体の諸計量,とりわけfベクトルを理解することであろう.ここでは,ワイソフ多面体のfベクトル(f0,f1,・・・,fn-1,fn)の全容解明について,補足しておきたい.
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n次元コンパクト凸多面体(頂点数f0)のfjに関するモツキンの上限予想とは,多くとも頂点数f0のn次元巡回多面体cyclic polytopeのそれであるというものである(f0頂点のn多面体の中で,もっとも多い面をもつのは巡回多面体である).
fj≦(頂点数f0のn次元巡回多面体cyclic polytopeのfj)
この上限予想はマクマレンによって1970年に証明され(マクマレンの上限定理),その後,スタンレーによって可換環論的再証明が与えられている.そこでは,fベクトルとhベクトルの関係が母関数を使って大変見通しよく説明することができている.
ワイソフ多面体では,上限でなくfjの全容が解明されたことによって,特別な多面体のfベクトルの性質の解明のみならず,すべてもn次元コンパクト凸多面体の新たなfベクトル予想を導き出せるかもしれない.
しかしながら,われわれの主たる興味はそこにはない.われわれはこの方法をさらに進化・深化させて,他の基本情報(多面体の体積や表面積,頂点周りのk次元面数)を得ているし,その応用としていくつかの高次元空間充填多面体(BCC型高次元空間充填多面体など)を構成している.空間充填以外の興味深い性質をもつ多面体クラスも構成している.ともあれ,本稿が高次元離散幾何学の発展に多大に寄与し得ることを確信している.
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