■n次元平行多面体数(その23)

 n次元立方体から(n+1,2)次元立方体の射影であったとしても,面数が2(2^n−1)を超えるゾーン多面体は空間充填不可能であるが,菱形12面体・第2種のように,これらの条件を満たしたとしても空間充填可能とは限らない.

 ところで,平行多面体の元素数は1であるが,菱形多面体の元素数は2(A6とO6)でいいのだろうか? この問題にはいる前にまず・・・

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【1】菱形多面体

 菱形多面体に対してオイラーの公式を使うと,

  4f=2e,qv=2e

ここで頂点を鋭角同士,鈍角同士で合わせると,鋭角の頂点が何面合わさるか(3,4,5のいずれか)に応じて,菱形六面体,(標準的な)菱形十二面体,菱形三十面体の3種類しかできません.この6,12,30という値は正多面体の辺の数と同じですが,これは偶然ではなく,実質的に式

  1/e=1/3+1/q−1/2   (q=3,4,5)

で与えられる量です.

 菱形三十面体の「ベルト」を押しつぶしてできる菱形二十面体や第2種菱形十二面体では,菱形の鋭角と鈍角の頂点が混じって会する頂点があります.そのため,菱形多面体の分類には少し手間がかかるようです.デルタ多面体の場合に較べて複雑になるのですが,ここでは合同な菱形だけでできている菱形多面体の必要条件を求めてみることにします.

[1]ゾーン多面体

 平行多角形のみで構成される多面体をゾーン多面体といいます.ゾーン多面体は無数にあるのですが,そのうち,ゾーン面は2枚ずつ増やせるので2(n−1)面,天井面と床面はそれぞれ(n−1)(n−2)/2面で

  2(n−1)+2(n−1)(n−2)/2=n(n−1)

という構成になっています.

  f=n(n−1)=2,6,12,20,30,42,56,・・・

  e=2n(n−1)

  v=n(n−1)+2

  n   ゾーン   天井床    f    e    v

  3     4     2    6   12    8

  4     6     6   12   24   14

  5     8    12   20   40   22

  6    10    20   30   60   32

[2]合同な菱形だけでできている菱形多面体

 次に,菱形のみの場合を考えます.菱形のすべての稜は2方向,菱形六面体のすべての稜は3方向,菱形十二面体では4方向,菱形三十面体では6方向を向いているのですが,菱形二十面体では5方向,菱形十二面体(第2種)では4方向を向いています.一般にすべての稜がn方向を向くとき,面数はf=n(n−1)となります.

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