■パラメータ解? (その33)
【1】2次体の判別式
2次体Q(√d)の判別式Dは
d=2,3(mod4) → D=4d
d=1(mod4) → D=d
となるのですが,素数pがいつ素イデアルに分岐しまた完全分解するかを調べると,有理素数は次のように分解することがわかります.
[1]d=2,3(mod4),D=4d
(1)p|D → p=p^2,N(p)=p
(2)(d/p)=+1 → p=pp',N(p)=p
(3)(d/p)=−1 → p=p,N(p)=p^2
[2]d=1(mod4),D=d
(1)p|D → p=p^2,N(p)=p
(2)p≠2,(d/p)=+1 → p=pp',N(p)=p
(3)p≠2,(d/p)=−1 → p=p,N(p)=p^2
(4)p=2,d=1(mod8) → 2=pp',N(p)=p
(5)p=2,d=5(mod8) → 2=p,N(p)=2^2
ここで,(d/p)はルジャンドルの記号で,
(d/p)=+1
はdがpを法とする平方剰余であることを示しています.すなわち,x^2=d(modp)の解の有無によって,解のあるときdをpの平方剰余,ないとき平方非剰余といい,
(d/p)=−1
と表されます.
この結果から2次体Q(√d)でpが分岐するための必要十分条件は
p|D
であることがわかります.割れなければpはQ(√d)で不分岐です.
一般に,代数体の判別式Dは基底の選び方には依存しない整数であり,代数体の大切な不変量の1つとなっているのですが,2次方程式が重根をもつ・もたないの判別ではなく,素数の分解・分岐など素イデアルの分解法則と密接に関係しているのです.
判別式の絶対値|D|が50以下の2次体Q(√d)をあげてみましょう.まず,
d=2,3(mod4) → D=4d
d=1(mod4) → D=d
ですから,
d=4n+1 → |d|≦50
d=4n+2,3 → |d|≦12
また,dは0,1以外の平方因数をもたない整数でなければなりませんから,4の倍数,9の倍数,16の倍数,25の倍数,36の倍数,49の倍数を除外すると,
−1,±2,±3,±5,±6,±7,±10,
±11,±13,±14,±15,±17,±19,
±21,±22,±23,±26,±29,±30,
±31,±33,±34,±35,±37,±39,
±41,±43,±46,±47
これらのなかで,
d=4n+1 → |d|≦50
d=4n+2,3 → |d|≦12
という条件を満たすのは
−1,±2,±3,±5,±6,±7,±10,±11,
13,17,21,29,33,37,41,
−15,−19,−23,−31,−35,−39,−43,−47
になります.
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