■ブレットシュナイダーの公式(その20)

  [1]正v角形(頂点数v)が半径1の球に内接しているとき

  [2]正多面体(頂点数v)が半径1の球に内接しているとき

いずれの場合であっても,すべての辺と対角線の長さの平方和はv^2で与えられることが確かめられた.ここまでくれば4次元の正多胞体の場合もそうに違いない.

 すべての次元で単位球に内接する正多胞体(頂点数v)のすべての辺と対角線の長さの平方和はv^2で与えられることはわかったが,なぜv^2なのか理由が知りたいところである.

 この問題は球面上の周期関数(格子点)を有限フーリエ変換して,パーセバルの等式を用いれば解決できると思われるが,ベクトルを使えばもっと容易に解くことができる.

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[Q]v個の頂点(P1,・・・,Pv)をもつ正多面体が半径1の球に内接しているとき,Q=Σ(2,v)|P1Pj|^2=Σ(1,v)|P1Pj|^2の値を求めよ.

[A]内積をつかえば

  Q=(P1−P1)・(P1−P1)+(P2−P1)・(P2−P1)+・・・+(Pv−P1)・(Pv−P1)

 ベクトル解析では原点はどこでも好きなところに選ぶことができるから,(P1を原点とするのではなく)球の中心に原点をおくと,

  (Pj−P1)・(Pj−P1)=P1・P1−2P1・Pj+Pj・Pj

  Pj・Pj=1

より

  (Pj−P1)・(Pj−P1)=P1・P1−2P1・Pj+Pj・Pj=2−2P1・Pj

よって

  Q=2v−2P1・(P1+P2+・・・+Pv)

が得られる.

 正多面体の重心は原点にあるから,その対称性より,

  P1+P2+・・・+Pv=0,Q=2v

すべての辺と対角線の長さの平方和SSは,すべての頂点において同じ線分が2回ずつ数えられていることから

  SS=v/2×Q=v^2   (QED)

 なお、この議論は3次元のみならず,一般の次元についても成立するものであるから,すべての次元で単位球に内接する正多面体(頂点数v)のすべての辺と対角線の長さの平方和はv^2で与えられることになる.

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