■n次元平行多面体数(その2)

 正多角形とは限らない多角形による平面充填形について考えてみましょう.ただし,非凸な多角形による平面のタイル張り問題は難しいので,ここでは正多角形ではない不規則な凸多角形に限ってみます.

 三角形と四角形の場合は凸でなくてもよいのですが,どんな形の三角形,四角形でも平面を過不足なく敷きつめることができます.凸六角形では本質的に異なる3つのタイプの六角形だけが平面を埋めつくします.また,凸な多角形では七角以上になるとどんな型のものもうまくいきません.

 五角形は特に興味津々です.正五角形はどうしても隙間があいてしまいますが,凸五角形では,ホームベース形も含めて,現在,14種の平面充填形が知られています.六角形に関しては3種類以外のものは存在しないことが示されていますが,五角形に関しては14種ですべてかどうかはまだ証明されていません.

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 以上のことを平行多面体との関係で考え直してみます.

[1]平行四辺形と平行六辺形は平面充填形である.

[2]三角形が平面充填可能であるのは,2個合わせると平行四辺形になるからである.

[3]2個合わせると平行六辺形になる五角形は平面充填可能である.

[4]七角以上になると平面充填できないのは,それが立方体の射影にならないからである.

[5]4(n)次元立方体の平面への射影は一般的に8(2n)角形になるが,八角形は平面充填できない図形である.

[6]一般の次元においては,n次元立方体から(n+1,2)次元立方体の射影である平行多面体(またはその等分体)がn次元空間充填可能になる.

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