■置換多面体の空間充填性(その508)
球の充填問題あるいは接触数の問題は結晶学・構造科学と直結する問題である.(その505)を補足しておきたい.
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接触数について,n=1の場合は自明で2,n=2の場合は正三角形格子(A3格子)状配列のとき6となる.
n=3の場合は,ニュートンは同じ平面上に6,その上下に3個ずつで計12を最大と信じた(これはFCCあるいはHCPの一部となる).他方,グレゴリーは正20面体の外接級の半径が1辺の長さよりわずかに短い0.951であることから,互いの隙間をうまく集めればもう1個置ける余裕ができるのではないかと考えた.
これが難しいのは12球の配置が一意でないことに負っている.その後,コンピュータを使って,中心からの距離が1以上,互いの距離も1以上という条件の下で13球を配置すると中心からの最大距離の最小値は1.02であることが確かめられた.
8次元空間では,隣り合う2点間の距離がすべて1である格子(E8格子)ができる.コクセターは
α8+2β8=2π
を使って空間充填形を構成して,中心・頂点間距離が1/√2<1,2/3<1であることを確かめ,8元数がユークリッド域であることを代数的にではなく幾何学的に証明したのである.
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