■ジップの法則・パレートの法則(その3)

【1】ジップの法則

 ジップは,言語学におけるパワー則,ある言語の単語を出現頻度順にならべるとその出現確率は簡単な双曲線則

  登場回数=k/順位^a

にしたがうことに気づいた.同じくジップは,社会学における都市人口の分配法則(人口の多い順に都市をならべ,その順位を横軸,縦軸には人口ととると双曲線ができる)

  人口=k/順位^a

にも気づいた.

 これらは総称してジップの法則と呼ばれている.贋作あるいは盗作と噂される著作物は洋の東西を問わず数多く存在し,

[1]紫式部の「源氏物語」の中の「宇治十帖」と呼ばれる後半の10巻は別人の作(源氏物語の作者は2人いた),

[2]シェークスピアはベーコンのペンネームだった(複数説もある),

[3]ノーベル文学賞を受賞したショーロホフの「静かなるドン」は盗作だった等々,贋作の噂は影のようにつきまとっている.

[4]「徒然草」の中にもどうしても吉田兼好の作品とは思えないものがあるといわれているが,徒然草を全部コンピュータに入れて出てくる言葉の頻度を調べたらニセ物がわかる等々,ジップの法則は真贋分析にも用いられている.

 しかし,ジップはこの法則を数学的に正しく導くことはできなかった.

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