各正多面体の1辺の長さをaとして,正多面体の表面積と体積を記すと
表面積 体積
正四面体 a^2√3 a^3√2/12
正六面体 a^26 a^3
正八面体 a^22√3 a^3√2/3
正12面体 a^2(25+10√5)^1/2 a^3(15+7√5)/4
正20面体 a^25√3 a^3(15+5√5)/12
中川宏さんにより,立方体からすべての正多面体・準正多面体の木工製作が完成しているのですが,もとの立方体との体積比はどれくらいになっているのでしょうか?
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【1】木工正多面体の体積
正六面体の4個の頂点を結ぶと,正六面体の中に正四面体ができますから,この正四面体の体積はもとの正六面体の1/3であること,正四面体の6個の辺の中点を結ぶと,正四面体の中に正八面体ができますから,この正八面体の体積はもとの正四面体の1/2であることは簡単にわかります.したがって,正八面体の体積はもとの立方体の1/6となります.
[1]正12面体の場合
もとの立方体の1辺の長さを2,もとの立方体表面に残る1本の稜の長さを2d(0≦d≦1)とすると,
d=(3−√5)/2
したがって,もとの立方体との体積比は
1:d^3(15+7√5)/4=1:0.427051
[2]正20面体の場合
正十二面体の場合と同様に,もとの立方体の1辺の長さを2,もとの立方体表面に残る1本の稜の長さを2d(0≦d≦1)とすると,
d=(√5−1)/2
したがって,もとの立方体との体積比は
1:d^3(15+5√5)/12=1:0.515028
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【2】雑感
正多面体・準正多面体の木工製作可能性が確立したわけですが,次なるテーマとして経済性を求める問題<最小工程問題と最小余白問題>は未解決のままです.最小余白問題,すなわち,立方体あるいは直方体から多角形を作るときできるだけ余白を少なくし,できる限り大きな体積の多面体を作りたいというのはごく自然な発想でしょう.工夫次第ではいまある正四面体や正八面体よりももっと大きなものが作れるものと思われます.
また,ねじれ準正多面体では3次元定規を使わない工程とするために中間的に2p角形,6角形,4角形からなる多面体[4,6,2p]を作り,それを切って[3,3,3,3,p]を仕上げました.この着想は正解と思います.しかし,4角形面は最終的に1本の稜だけが残るだけです.したがって,4角形面を作る切稜プロセスは,ねじれ準正多面体を作りやすくするためのものであっても工程的には無駄なプロセスとなっていることがわかります.
このような無駄を省こうとする工夫が最小工程問題なのですが,適切な工程で行えば最小の費用(時間とコスト)の下で得られるべき立体の体積を最大にすることができるようになり作業能率は向上します.このような意味から,最小工程問題は最小余白問題と同時に取り組まれるべきものと考えられました.
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