■カンタベリー・パズルの木工製作(その6)

 正三角形が4つの断片に切り分けられていて,ハトメを中心として回転させると正三角形が正方形に変身するというのがカンタベリー・パズルです.デュドニーのカンタベリー・パズルは正三角形をそれと等積の正方形に直す問題ですが,正五角形や正六角形を切り刻んで正方形に再構成する仕方も知られています.また,正六角形をいくつかの小片に切り離して並び替え正八角形をつくることや星形を正方形にかえることも可能です.図形の幾何学的特徴をうまく利用して,分割に使われるピース数を少なくすることが分割の面白さといえるでしょう.

 ハリー・リンドグレンとグレッグ・フレデリクソンは星形の作りかえをいくつも示していますが,今回のコラムで取り上げるのは,ハトメを中心として回転させると星形多角形が穴あきの星形多角形に変身するというもので,カンタベリー・パズルの「星形化」とでも呼ぶべきパズルです.

  [参]Frederickson GN: Dissections: Plane and Fancy, Cambridge University Press, 1997

 これを製作するにあたってはローリングしながらスライディングする動作機構を工夫する必要がありますが,ケプラーの「星形多面体」シリーズの木工製作を終えたばかりの中川宏さんに「星形多角形」シリーズの製作もお願いすることにしました.

 n=5,n=7のものは

  [参]Frederickson GN: Dissections: Plane and Fancy, Cambridge University Press, 1997

に掲載されているもので,星形七角形のものは彼の本の表紙デザインとしても採用されています.n=6,n=8は掲載されているものとは別物です.今回のコラムではn=5,n=6のものを掲載します.

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【1】星形多角形パズル

 ここで紹介するのはハトメを中心として回転させると星形多角形が穴あきの星形多角形に変身するというものです.

 三角形のピースの1つの内角をθとして,1辺の長さを1,x,(x^2+1)^1/2を計算すると,tanθ=1/xより

  n=5   θ=18°        x=3.07769

  n=6   θ=30°        x=1.73205

  n=7   θ=38.5714°   x=1.25369

  n=8   θ=45°        x=1

台形のピースの4辺の長さは1,1,x,(x^2+1)^1/2+1となります.

[1]n=5

[2]n=6

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