レムニスケートのk等分点に引き続いて,楕円のk等分点について考えてみることにしたい.その基礎的な事項は(その10)で与えてあるが,まずはその復習から.
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【1】楕円の場合
円錐曲線y^2=ax^2+bの場合を考えてみよう.この曲線はa<0のとき楕円,a>0のとき双曲線であるが,ydy/dx=axであるからその線素は
ds=dx((1+qx^2)/(1+px^2))^1/2
p=a/b,q=(a+a^2)/b
で与えられる.円ではa=−1,b=1,p=−1,q=0より
ds=dx/(1−x^2)^1/2
となる.
この円錐曲線と1対1対応する楕円曲線
z^2=F(x)=(1+px^2)(1+qx^2)
=1+(p+q)x^2+pqx^4=1+mx^2+nx^4
m=p+q,n=pq
を定義する.
たとえば,楕円y^2=ax^2+bのx≧0,y≧0の部分を扱い,始点をP(0,√b),終点をQ=(α,0)
α=√(−b/a)
にとると,P,Qはそれぞれ楕円曲線の上の点A(0,1),B(α,0)に対応する.
ところで,楕円曲線z^2=1+mx^2+nx^4において,A(0,1),B(a,b)にとれば,b^2=1+ma^2+na^4となるが,このとき,加法・減法公式は
x’=(bx±ay)/(1−na^2x^2)
と表すことができる(その10).
減法公式にa=α,b=0,n=pqを適用すると,a^2=−1/pより
x’=(bx±ay)/(1−na^2x^2)
=α((1+px^2)/(1+qx^2))^1/2
となり,楕円の弧PQはQPに写像されPとQは移り合う.
さらに,PQの線素
ds=dx((1+qx^2)/(1+px^2))^1/2
は
x’=α((1+px^2)/(1+qx^2))^1/2
を用いて
ds=αdx/x’
一方,写像x→x’でdsを変換したものは
ds’=αdx’/x
と書ける.ここで,M(x,y)をPQ上の任意の点,写像x→x’によるMの像をNとすると,
弧PMの長さ:λ=α∫(0,x)dx/x’
弧QNの長さ:λ’=−α∫(0,x)dx’/x
λ’−λ=qαxx’
が得られる.
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【2】楕円のk等分点
円ではy^2=F(x)=1−x^2,レムニスケートではy^2=F(x)=1−x^4とおいて,
ds=dx/y
で与えられることをみてきたが,たとえば,レムニスケートの弧長では,加法公式
x’={x(1−y^4)^1/2+y(1−x^4)^1/2}/(1+x^2y^2)
において,y=xとおくと倍角公式が得られる.また,y=1の場合の減法公式は,反転写像
x’=(1−x^4)^1/2/(1+x^2)={(1−x^2)/(1+x^2)}^1/2
を与える.
楕円の弧長を求めるには,楕円の弧と1対1対応する楕円曲線
y^2=F(x)=(1+px^2)(1+qx^2)=1+mx^2+nx^4
の加法公式
x’={x(1+my^2+ny^4)^1/2+y(1+mx^2+nx^4)^1/2}/(1−nx^2y^2)において,y=xとおくと倍角公式
x’=2xy/(1−nx^4)=2x(1+mx^2+nx^4)^1/2/(1−nx^4)
が得られる.
また,1+my^2+ny^4=0の場合,すなわち,1+py^2=0,y^2=−1/pの場合の減法公式は,
x’=y(1+mx^2+nx^4)^1/2/(1−nx^2y^2)
1+mx^2+nx^4=(1+px^2)(1+qx^2),n=pq,α^2=−1/p
より,反転写像
x’=α((1+px^2)/(1+qx^2))^1/2
を与える.
これ以降はレムニスケート型y^2=1−x^4の場合とまったく同様に進むことができて,k倍角公式でx’=αとおいてxを求めるとその点がk等分点に対応する.たとえば,楕円x^2/4+y^2=1,すなわち,a=−1/4,b=1,p=a/b=−1/4,q=(a+a^2)/b=−3/16,m=p+q=−7/16,n=pq=3/64,α=√(−b/a)=2の場合について次回以降,具体的に計算することにしたい.
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【3】雑感
楕円のk等分点について考察してきたが,
x’=α((1+px^2)/(1+qx^2))^1/2
が反転公式である.
したがって,2等分点に対応する
x=α((1+px^2)/(1+qx^2))^1/2
qx^4+(1−pα^2)x^2−α^2=0
α^2=−1/pより
pqx^4+2px^2+1=0
はx^2に関する2次方程式となる.3次方程式に帰着する作図問題は+−×÷√の演算を組み合わせても解けないが,2次方程式であるから楕円を定規とコンパスだけで2等分することができるはずである.
x^2=1/pq(−p−(p^2−pq)^1/2)
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