ケプラー・ポアンソの星形正多面体は4種類あるが,ケプラーの発見した2つの星形正多面体のうち,小星形十二面体は正十二面体に,大星形十二面体は正二十面体に三角錐を載せできる.
しかし,三角形面から構成されていると見るのではなく,視点を変えて,小星形十二面体は正十二面体の,大星形十二面体は正二十面体の辺を交差するまで延長させてできるものと見るべきである.すると,互いに貫通する12面の星形五角形から構成されている姿がとらえられるし,小星形十二面体の五角錐の側面も,大星形十二面体の三角錐の側面も頂角36°の二等辺三角形となる理由もわかるだろう.
正三角形面に任意の外三角錐をつけることは可能であるが,中川宏さんが正二十面体の4等分体に5個の外三角錐を貼り合わせたパーツを4つ組み合わせた組み木細工を作って,この辺の事情を考察してくれた.今回のコラムでは星形正多面体と広義の星形正多面体について紹介したい.
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【1】大星形十二面体
小星形十二面体の五角錐の底辺での二面角は,正十二面体の二面角と補角
2arctan(1/φ)=63.435°
になる.それに対して,大星形十二面体では頂角36°の二等辺三角形3枚よりなる三角錐を正二十面体に貼り付けたものであり,ピタゴラスの定理より三角錐の底辺での二面角は79.1878°で,かなり尖った三角錐になることが計算される.
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【2】隣接面延長型二十面体
星形正多面体は正多面体の各面の「辺」を交差するまで延長させてできる星形面が交差する立体である.正十二面体の「面」を延長させても小星形小十二面体ができるが,正二十面体の隣接面を延長させたものは大星形十二面体とはまったく別の多面体になる.
この広義の星形多面体は正二十面体の隣接面を交差するまで延長する方法で外三角錐を作るので,二面角は正二十面体の二面角と補角
2arctan(1/φ^2)=41.8103°
をなす.また,外五角錐の高さは内五角錐の0.341641倍と計算される.
次に述べる三方二十面体とは似て非なるものであることから,この多面体を(勝手に)宙型二十面体と呼ぶことにした.
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【3】三方二十面体
三方二十面体は切頂十二面体(アルキメデス立体)の双対多面体(カタラン立体)である.外三角錐の底辺に対する二面角11.2114°と計算される.
ところで,三方は結晶学の用語だそうで,角度にはこだわらない形の総称なのかもしれない.任意の三角錐,たとえば頂角36°ではなく底角36°の二等辺三角形(頂角108°)よりなる三角錐の場合,二面角は37.3774°と計算される.
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