■朝鮮サイコロの出目の確率(その2)
今回のコラムでは,外接球を有する中心対称な多面体を転がしたとき(rolling)に各面のでる確率を求めてみます.
転がり運動中は辺で接地していて,辺を中心として回転していると考えられます.多面体が辺で立っていてその真上に重心がある状態を想定してみてください.そのとき,重心の高い面と低い面とがあるならば,重心が低くなる面に落ち着く確率が高くなるでしょう.
したがって,多面体の重心・辺の中心間距離,重心・面の中心間距離の差が,目のでる確率を規定することがわかります.ただし,ここでは辺の中心とそれを挟む両面の中心,多面体の重心が辺と直交する同一平面上にある場合のみを考えています.
また,特定の辺を中心として回転する確率は辺の長さに比例して増加しますから,これらの条件を考慮に入れて,任意の切頂立方体をrollingした場合に各面のでる確率を切頂の深さdの関数として表すことにします.
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【1】切頂立方体(1≦d≦2の場合)
r=2−d
とおくと
重心から正方形面までの距離:H4=1
重心から六角形面までの距離:H6=√3(r+1)/3
となります.
また,正方形面と正六角面とに挟まれた辺の中心と重心との距離H46および長さL46はそれぞれ
H46={2(r/2)^2+1}^(1/2)
L46=√2r
六角形面と六角形面とに挟まれた辺の中心と重心との距離H66および長さL66は,
H66=√2(r+1)/2
L66=√2(1−r)
正方形面のでる確率P4は
L46(H46−H4)
六角形面のでる確率P6は
L46(H46−H6)+2L66(H66−H6)
に比例することになります.
P4+P6=1
より,
P4=L46(H46−H4)/{L46(H46−H4)+L46(H46−H6)+2L66(H66−H6)}
r=.767025
として,実際に計算してみると,
四角形面:六角形面=0.348991:0.651009
となります.
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