今回のコラムでは,パラメトライズ(媒介変数表示の形に書くこと)の仕方は1通りではないことを見ていきたいと思います.
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【1】円のパラメータ表示
原点を中心とする半径1の円の円周上の点を(x,y)とすれば,第3の変数θを媒介として,x=cosθ,y=sinθと表されます.θは(x,y)と(0,0),θ/2は(x,y)と(−1,0)を結ぶ直線とx軸とのなす角を表しています.
さらにt=tan(θ/2)とすると
tan(θ/2)=sinθ/(1+cosθ),
cosθ=(1−t^2)/(1+t^2),
sinθ=2t/(1+t^2)より,
x=±(1−t^2)/(1+t^2),
y=2t/(1+t^2) (−1≦t≦1)
と表すことができます.
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これと同値な結果は以下のようにして得ることができます.原点を中心とする半径1の円:x^2+y^2=1の円周上のひとつの有理点が(0,1)です.この点を通る直線y=mx+1と単位円との交点は,代入して因数分解すれば
x^2+(mx+1)^2=1
x((1+m^2)x+2m)=0
より
x=2m/(1+m^2),
y=mx+1=(1−m^2)/(1+m^2)
と表すことができます.
これによって,円周上の点(x,y)が有理点であるためにはmが有理数であることが必要十分条件であることがわかります.すなわち,単位円上のすべての有理点は,mの関数
x=2m/(1+m^2),
y=±(1−m^2)/(1+m^2)
で表すことができます.
x^2+y^2=2(半径√2の円)において(1,1)は有理点で,この点を通る直線の方程式y−1=m(x−1)を(x^2−1)+(y^2−1)=0に代入して因数分解すると
x=(m^2−2m−1)/(m^2+1)
y=(−m^2−2m+1)/(m^2+1)
が得られます.m=∞に対応する(1,−1)も有理点です.
このように,円の有理点全体は1つの変数mによって一意化できますが,円ばかりではなく,現在では2次曲線に1つでも有理点があると実は無限に有理点があることがわかっています.2次曲線は有理点を無限のもつか,1つももたないかのどちらかであって,たとえば,x^2+y^2=3(半径√3の円)の上には有理点は1つも存在しません.このことは,互いに素な整数a,bに対する平方の和a^2+b^2は3で割れないということからわかります.
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【2】レムニスケートのパラメータ表示
レムニスケート:極座標系でr^2 =cos2θ,直交座標系で(x^2 +y^2 )^2 =x^2 −y^2 は,三角関数を用いて
x=cosθ/(1+sin^2θ)
y=sinθcosθ/(1+sin^2θ)
とパラメトライズされます.
ここで,
t=tan(θ/2)
を使うと
sinθ=2t/(1+t^2)
cosθ=(1−t^2)/(1+t^2)
と表示されますから,
x=(1−t^4)/(1+6t^2+t^4)
y=2t(1−t^2)/(1+6t^2+t^4 )
のようにパラメトライズすることができます.
(その4)では
sinθ=(1−t^2)/(1+t^2)
cosθ=2t/(1+t^2)
とおいて,
x=t(1+t^2)/(1+t^4 )
y=t(1−t^2)/(1+t^4 )
とパラメトライズしたわけですから,パラメトライズの仕方は1通りではありません.
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次に,もう一つ別のパラメトライズをみてみましょう.レムニスケートは4次曲線ですが,原点(0,0)が有理点ですから,y=mxとおくことによってパラメータ表示の形に書くことができます.
(1+m^2)^2x^4=(1−m^2)x^2
x=(1−m^2)^1/2/(1+m^2)
y=m(1−m^2)^1/2/(1+m^2)
m=tanθですから,t=tan(θ/2)を使うと
m=2t/(1−t^2)
x=(1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2
x=2t(1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2(1−t^2)
と置き換えることもできます.
あるいは,r^4=cos^2θ−sin^2θより,
x=rcosθ=cosθ(cos^2θ−sin^2θ)^1/4
y=rsinθ=sinθ(cos^2θ−sin^2θ)^1/4
ここで,
t=tan(θ/2)
sinθ=2t/(1+t^2)
cosθ=(1−t^2)/(1+t^2)
r=((1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2)^4
を使って置き換えることもできるでしょう.すると
x=(1−t^2)/(1+t^2)・((1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2)^4
y=2t/(1+t^2)・((1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2)^4
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【3】中間曲線のパラメ−タ表示
レムニスケートではうまいパラメトライズの方法があったのですが,中間曲線ではどうでしょうか?
y=mxとおくことによって
(2(x^2+y^2)^3−4x^3+3x(x^2+y^2))^2=(x^2+y^2)^3
(2x^6(1+m^2)^3−4x^3+3x^3(1+m^2))^2=x^6(1+m^2)^3
(2x^3(1+m^2)^3−1+3m^2))^2=(1+m^2)^3
これはX=x^3に関する2次方程式ですから,X=g(m)を解として
x=(g(m))^1/3
y=m(g(m))^1/3
とパラメトライズできます.
あるいは,
r^3=cos^2(3/2θ)=(4cos^3θ−3cosθ+1)/2
より,rを三角関数で表すと
r=((4cos^3θ−3cosθ+1)/2)^1/3
x=rcosθ
y=rsinθ
r=((4cos^3θ−3cosθ+1)/2)^1/3
に対して,
t=tan(θ/2)
を使うと
sinθ=2t/(1+t^2)
cosθ=(1−t^2)/(1+t^2)
より,
r=(3t^2−1)^(2/3)/(1+t^2)
x=(1−t^2)(3t^2−1)^(2/3)/(1+t^2)^2
y=2t(3t^2−1)^(2/3)/(1+t^2)^2
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