■ペンタドロン(自然界のレゴ・ブロック,その4)

 3月27日の日本化学会で,

  秋山仁「ベンタドロンと相転移モデル」

が講演される.

 通常,化学会では新しいマテリアルに関するトピックが講演されるのであるが,この講演はニュー・マテリアルには無縁であって,演者も数学者(幾何学者)ではあっても,化学者(結晶学者)ではない.

 しかし,相転移現象を初めて見知ったひとはその形の変化にまず驚くとともに,やがてナゼ?という疑問をもつに違いない.不思議さに魅せられたならばそれはすでに「形の原理」の問題領域である.

 形の原理はこれまでほとんど手のつけようがなかった問題領域である.「形の原理」の答えは完全には与えられていないのである.当該の講演はそのような問題領域に対して,独自の視点から企画されたものである.極端な言い方かもしれないが,科学者の目で自然を洞察し,詩人の心をもってペンを走らせたものと思われるのである.

 化学と数学の間に「言葉」の使い方の違いが存在するかもしれないが,お互い,自分の分野の用語に翻訳し直して,アイデアをコミュニケートしてもらいたいものである.

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