■4次元の雪,5次元の雪,6次元の雪,・・・(その29)

【1】シュレーフリ関数Fn(θ)

 (その28)に掲げたシュレーフリ関数S(x,y,z)は,n次元球の最密充填に関する評価式のうち,n=4に対する場合には利用できますが,一般のn次元で使えるようにするために,それを拡張しておく必要があります.また,正単体の諸量を計算するためには,one-parameter化しておいた方が都合がよいと考えられます.

 そこで,シュレーフリは,微小変化量dFが

  dFn+1(θ)=Fn-1(φ)dF2

すなわち,2次元の球面上の三角形の面積に比例することを用いて,シュレーフリ関数Fn(θ)を

  Fn+1(θ)=2/π∫(1/2arcsec(n),θ)Fn-1(φ)dθ

  sec2φ=sec2θ−2

  F0(θ)=1,F1(θ)=1

で再帰的に定義しました.

  dF2=2/πdθ

というわけですが,

  F2(θ)=2/π・θ

  F3(θ)=2/π(θ−π/6)

となることは簡単に確かめられます.

 さらに,シュレーフリは

  F2k+1(θ)=F2k(θ)-1/3F2k-2(θ)+2/15F2k-4(θ)-・・・

と展開され,その係数が

  tanhx=x-1/3x^3+2/15x^5-17/315x^7+(-1)^(n-1)2^(2n)(2^(2n)-1)Bn/(2n!)x^(2n-1)・・・

と同じであることを示しています.

 したがって,奇数次元のシュレーフリ関数に関しては

  F3(θ)=F2(θ)-1/3=2/π(θ−π/6)

  F5(θ)=F4(θ)-1/3F2(θ)+2/15

  F7(θ)=F6(θ)-1/3F4(θ)+2/15F2(θ)-17/315

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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  F3(1/2arccos(1/3))=arccos(1/3)/π−1/3

それに対して,F4(θ)を解析的に求めることは難しく,数値積分で近似値を計算することになるのですが,F4(1/2arccos(1/4))の場合,公式

  Fn+1(1/2arccos(1/n))=0

を用いて,

  F5(1/2arccos(1/4))=0

 また,

  F5(θ)=F4(θ)-1/3F2(θ)+2/15

より,

  F4(1/2arccos(1/4))=1/3(arccos(1/4)/π-2/5)

と計算されます.

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