■4次元の雪,5次元の雪,6次元の雪,・・・(その24)
【1】隣接行列式とディンキン図形
単純リー群には9つの型がある.それらはA,B,C,Dと名づけられた4つの古典群とE6,E7,E8,F4,G2と名づけられた5つの例外群であった.
リー型の単純群は,4つの古典群,5系列の例外群,さらにそのうちで対称性をもつA,D,E6,D4の4系列,疑似対称性をもつB2,G2,F4の3系列で16系列,素数位数の巡回群と交代群も含めて総計18系列に細分される.
・−・・・・・−・ (An:n≧2のとき位数2の自己同型がある)
・
/
・−・・・・・ (Dn:n≧4のとき位数2の自己同型がある)
\
・
3
/
1−2 (D4:位数3の自己同型がある)
\
4
4
|
1−2−3−5−6 (E6:位数2の自己同型がある)
1=2 (B2) 1≡2 (G2) 1−2=3−4 (F4)
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例えば,A3型,D4型,E8型のディンキン図形は,
3 1−2−3 (A3 )
/
1−2 (D4 ) 4
\ |
4 1−2−3−5−6−7−8 (E8 )
となる.
そして,ディンキン図形に基づいて,隣接行列の要素bijを,
それ自身のとき・・・・2
結ぶ辺があるとき・・・1
結ぶ辺がないとき・・・0
と定める.
グラフの隣接行列では,結ぶ辺の有無を(0,1)で表したものが一般的である.すなわち,
結ぶ辺があるとき・・・1
結ぶ辺がないとき・・・0
であるが,極大格子の隣接行列B={bij}では,要素が内積bi↑・bj↑からなるグラミアンによって定義される.その際,n次元平行多面体(平行2n面体)の基底となるn個のベクトルbkはすべて長さ√2,biとbjが隣り合うときは2つのベクトルは角度60°で交わり(内積=1),隣り合わないときは直交すること(内積=0)を意味している.角度が60°のことを隣り合うといっているわけで,そのため,隣接行列は(0,1,2)で表されることになる(隣接行列の定義は文献によって異なる場合があるので注意を要する).
そうすれば,A3型,D4型,E8型に対応する隣接行列式|B|は,それぞれ
|2 1 0| |2 1 0 0|
|1 2 1| |1 2 1 1|
|0 1 2| |0 1 2 0|
|0 1 0 2|
|2 1 0 0 0 0 0 0|
|1 2 1 0 0 0 0 0|
|0 1 2 1 1 0 0 0|
|0 0 1 2 0 0 0 0|
|0 0 1 0 2 1 0 0|
|0 0 0 0 1 2 1 0|
|0 0 0 0 0 1 2 1|
|0 0 0 0 0 0 1 2|
で定義され,格子群の基本領域の体積Vと最短距離dは
G=(d^2/2)^n|B|=1=V^2
より求められることになる.
これらの隣接行列式を展開すると,
|A2 |=3,|A3 |=4,|D4 |=4,|D5 |=4,
|E6 |=3,|E7 |=2,|E8 |=1
が得られる.
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