■ウォリスの公式・再訪

【1】ウォリスの公式

 ウォリスは,円の面積と関係する積分

  ∫(0,1)(1−t^2)^pdt

において,p=−1/2,0,1/2,1,3/2,2,5/2,3,7/2,4に対する値をもとめ,

  A√(15/14)<4/π<A√(14/13)

  A=3・3・5・5・7・7・・・13・13/2・4・4・6・8・・・12・14

を示しています.

 ウォリスの公式は

  4/π=3・3・5・5・7・7・・・13・13・・・/2・4・4・6・8・・・12・14・・・

あるいは

  π/2=(2・2/1・3)(4・4/3・5)(6・6/5・7)・・・(2n・2n/(2n−1)・(2n+1))・・・

と記すとわかりやすいですが,この公式の不思議なところは有理数の無限積→πになっている点です.

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【2】ニュートンの一般二項定理

 ニュートンはこれを一般化して

  φ(p,x)=∫(0,x)(1−t^2)^pdt

の補間を試みました.

  φ(0,x)=x

  φ(1,x)=x−x^3/3

  φ(2,x)=x−2x^3/3+x^5/5

  φ(3,x)=x−x^3+3x^5/5−x^7/7

 これらの係数をまとめると

  x→1,1,1,1,1・・・

  −x^3/3→0,1,2,3,・・・

  x^5/5→0,0,1,3,6,10,15,・・・(三角数p(p−1)/2)

  −x^7/7→0,0,0,1,4,・・・(p(p−1)(p−2)/6)

 そして,pは分数のときもこの式で係数を計算します.そして,

  (1+x)^p=1+px+(p−1)/2・x^2+p(p−1)(p−2)/6・x^3+・・・

 p=1/2を代入すると 

  (1+x)^1/2=1+1/2・x/2−1/8・x^2+1/16・x^3+・・・

  そして,2つの展開式を掛け合わせて

(1+1/2・x/2−1/8・x^2+1/16・x^3+・・・)(1+1/2・x/2−1/8・x^2+1/16・x^3+・・・)=1+x

であることを確認したとのことです.

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【3】オイラーのベータ関数

  ∫(0,1)x^m(1−x)^ndx

=1・2・3・・・n/(m+1)(m+2)・・・(m+n+1)

  (m+n+1)∫(0,1)x^m(1−x)^ndx

=1・2・3・・・n/(m+1)(m+2)・・・(m+n)

  m=2のとき,2/(n+1)(n+2)   (三角数の逆数)

m,nが整数でないときには,一般二項係数のまま計算します.

 ベータ関数を一般化すると,

  ∫(a,b)(x-a)^m(b-x)^ndx=m!n!/(m+n+1)!(b-a)^(m+n+1)

が得られます.これらは受験参考書に必ず書いてある

  ∫(a,b)(x-a)(x-b)dx=-1/6(b-a)^3

  ∫(a,b)(x-a)(x-b)^2dx=1/12(b-a)^4

という公式の一般化になっています.

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【4】再びウォリスの公式

  1/2B(1/2,(n+1)/2)=∫(0,π/2)(sinθ)^ndθ

この値をSnとおくと,部分積分により漸化式

  Sn=(n-1)/nSn-2

が得られますから,

n=2k(偶数)なら1・3・・・(2k-1)/2・4・・・(2k)*π/2

n=2k+1(奇数)なら2・4・・・(2k)/1・3・・・(2k+1)

これより、

lim1・3・・・(2k-1)/2・4・・・(2k)*√(k)=1/√(π)

変形すると,ウォリスの公式

  (2n)!/(2^nn!)^2√(n)=1/√(π)

が得られる.

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