■八元整数(その2)
【1】E8格子
コクセターは,8次元空間において2個の正軸体と1個の正単体を組み合わせると空間充填形ができ,ケイリー整数の作る格子がその具体形であることを証明した.
原点と単位点,実数成分が1/2で他の3個がすべて+1/2である原点の隣点7点,
(0,0,0,0,0,0,0,0)
(1,0,0,0,0,0,0,0)
(1/2,1/2,1/2,1/2,0,0,0,0)
(1/2,1/2,0,0,1/2,1/2,0,0)
(1/2,1/2,0,0,0,0,1/2,1/2)
(1/2,0,1/2,0,1/2,0,1/2,0)
(1/2,0,1/2,0,0,1/2,0,1/2)
(1/2,0,0,1/2,1/2,0,0,1/2)
(1/2,0,0,1/2,0,1/2,1/2,0)
合計9点は辺長が1の正単体をなす.
他方,原点と全成分が1/2の点
(0,0,0,0,0,0,0,0)
(1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2)
を軸として,両者から等距離にある4成分が1/2,他の成分が0である14点,
(1/2,1/2,1/2,1/2,0,0,0,0)
(1/2,1/2,0,0,1/2,1/2,0,0)
(1/2,1/2,0,0,0,0,1/2,1/2)
(1/2,0,1/2,0,1/2,0,1/2,0)
(1/2,0,1/2,0,0,1/2,0,1/2)
(1/2,0,0,1/2,1/2,0,0,1/2)
(1/2,0,0,1/2,0,1/2,1/2,0)
とその反転
(0,0,0,0,1/2,1/2,1/2,1/2)
(0,0,1/2,1/2,0,0,1/2,1/2)
(0,0,1/2,1/2,1/2,1/2,0,0)
(0,1/2,0,1/2,0,1/2,0,1/2)
(0,1/2,0,1/2,1/2,0,1/2,0)
(0,1/2,1/2,0,0,1/2,1/2,0)
(0,1/2,1/2,0,1/2,0,0,1/2)
合計16点が辺長1の正軸体を作り,隙間なく全空間を覆うのである.
正軸体,正単体のうち,頂点から最も遠い点はその中心
(1/4,1/4,1/4,1/4,1/4,1/4,1/4,1/4)
(1/2,1/6,1/6,1/6,1/6,1/6,1/6,1/6,1/6)
であり,その距離はそれぞれ1/√2,2/3である.
E8格子の構成法は他にもあり,たとえば,面心立方格子状に単位球を置いた場合の112個の接触点
1/√2(0,・・・,±1,0,・・・,±1,0・・・) (±1の個数は2つ)と128個の隙間の点
1/√8(±1,±1,±1,±1,±1,±1,±1,±1) (+の個数は偶数)
とは直交変換で互いに移りあう.そして,原点においた半径1/2の球に,同じ半径の球を原点の隣点におけば240個の球が接するようにできる.8次元空間における球の接触数は240であり,その配列は本質的にこの形しかないのである.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この充填形で,正軸体の1つおきの胞に正単体が続き,他の半分の胞は正軸体同士が接する.格子点として1つの格子点を中心にその隣(距離1)の240個の頂点を結んでできる8次元の「亜正多面体」は次のような構造をしている.
頂点240個,辺6720(240×28)本
面(正三角形)60480(6720×9)枚
3次元胞(正四面体)241920(60480×4)個
4次元胞(正五胞体)241920(60480×4)個
5次元胞(正単体)483840個
6次元胞(正単体)207360個
=483840×3/7=240×864
=(17280×8+2160×2^7)/2
7次元胞:各6次元胞に正軸体2個と正単体1個が合わさり
正単体が17280個,正軸体が2160個
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【2】正単体と正軸体の体積からの検討
8次元正単体の体積3/2^48!
8次元正軸体の体積2^4/8!
正単体の部分は17280×3/2^48!
正軸体はその半分の錘体になり,その部分は2160×2^7/2^48!
このことから正軸体の占める部分が大半で,正単体が隙間を埋めている印象である.この充填形の一部から超立方体を構成するには無理があるということだろう.
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