■ガウスの問題とデーンの定理(その4)
【1】デーンの定理の一般化(その目標と証明)
[秋山の定理:2009]正多面体の元素数は≧4である.
[1]目標
N1δ4+N2δ12+N3δ20≠0 (mod π)
(a1Z4+b1)(a2Z12+b2)(a3Z20+b3)=Re+Imi
Im≠0
[2]証明
Im=A+B√2+C√5+D√10
と展開される.
A=−2(5a1a2a3+15a2a3b1−5a1a3b2−15a3b1b2)/45
B=−2a1(−5a2a3−15b2b3)/45
C=−2(a1a2a3+3a2a3b1−3a1a2b3−9a2b1b3)/45
D=−2a1(4a2a3+5a3b2+3a2b3)/45
(その3)の続きである.
===================================
【2】√2の係数
√2の係数を求めてみる.√2の係数はB,Dより派生する.
B=−2a1(−5a2a3−15b2b3)/45
D=−2a1(4a2a3+5a3b2+3a2b3)/45
ここでa1,b1は整数となるが,a2,b2の一方,a3,b3の一方はk√ 5(kは整数)の形となる.
[1]a2=c2√5,b2=d2,a3=c3√5,b3=d3の場合,√2の係数は
−2a1(−25c2c3−15d2d3+10c3d2+15c2d3)/45
[2]a2=c2√5,b2=d2,a3=c3,b3=d3√5の場合
−2a1(20c2c3+15c2d3)/45
[3]a2=c2,b2=d2√5,a3=c3√5,b3=d3の場合
−2a1(20c2c3+25c3d2)/45
[4]a2=c2,b2=d2√5,a3=c3,b3=c3√5の場合
−2a1(−5c2c3−75d2d3+25c3d2+15c2d3)/45
c3≠0,d3=0 (mod 3)
d2=0 (mod 5)
であるから[1]≠0,[2]≠0,[4]≠0.
問題となるのは[3]のケースである.
c2=25k,d2=−20k
のとき,√2の係数=0となるからである.
===================================
【3】√5の係数
√5の係数はA,Cより派生する.
A=−2(5a1a2a3+15a2a3b1−5a1a3b2−15a3b1b2)/45
C=−2(a1a2a3+3a2a3b1−3a1a2b3−9a2b1b3)/45
√2の係数が0のとき,
a2=25k,b2=−20k√5,a3=c3√5,b3=d3
であるが,このときの√5の係数について調べてみると
−50k(5a1c3+15b1c3−3a1d3−9b1d3)/45
=−50k(a1+3b1)(5c3−3d3)/45
a1≠0,b1=0 (mod 3)
c3≠0,d3=0 (mod 3)
であるから,
(√5の係数)≠0
すなわち,√2の係数と√5の係数は同時に0とはならない.
Im=A+B√2+C√5+D√10≠0
===================================
【4】結論
整数論(?)の知識を活用して
N1δ4+N2δ12+N3δ20≠0 (mod π)
が証明できた.3次元の正多面体の二面角についてはδ6=π/2,δ4+δ8=πという関係があるが,それ以外の有理数線型関係はないようである.δ4とδ8とは互いに補角なので,
N1δ4+N2δ12+N3δ20≠0 (mod π)
が証明できれば
N1δ8+N2δ12+N3δ20≠0 (mod π)
も証明できる.
ともあれ,有理係数で線形独立であるから
[秋山の定理:2009]正多面体の元素数は≧4である.
という結論が主張できる.
===================================