■ガウスの問題とデーンの定理(その1)
[Q]同じ底面積と高さをもつ2つの三角錐は分解(補充)合同か? (ガウスの問題)
たとえば,単位立方体[0,1]^3を考える.
[1](0,0,0),(1,0,0),(0,1,0),(0,0,1)→trirectangular tetrahedron(T3)
[2](0,0,0),(1,0,0),(1,1,0),(1,1,1)→quadrirectangular tetrahedron(T4)
は同じ底面積と高さをもつ2つの三角錐であるが,これらは分解(補充)合同ではない.
この結果は「正八面体は立方体に解体再編されない」ということと等価である.なぜならT3は正八面体の1/8,T4は立方体の1/6であるからである.
また,正四面体の二面角δ4と正八面体の二面角δ8は補角
δ4+δ8=π
であるから,「正四面体は立方体に(たとえ同じ体積をもっていたとしても)解体再編されない」ということとも等価である. (デーンの定理)
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【1】デーンの定理の証明
δ4=arccos(1/3)
mδ4=l・π/2+kπ
mδ4=nπ
となる自然数m,nが存在するとして矛盾を導き出してみたい.
z=cosδ4+isinδ4=1/3+i√8/3
3z−1=i√8
9z^2+6x+1=−8
3z^2=2z−3
一般に
3^k-1z^k=az+b,a≠0
とかけるが,たとえば,k=2のとき,a=2,b=3でaは3で割れない.
すると帰納的に
3^kz^k+1=3z(az+b)=3az^2+3bz=2az−3a+3bz
=(2a+3b)z−3a,2a+3bも3で割れない.
mδ4=nπが成立するとすると,あるNに対して
z^N=1
となり,
3^N=az+b
虚部の比較によりa=0となり矛盾.
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【2】正多面体の元素定理(デーンの定理の拡張)
δ4=arccos(1/3)
δ8=arccos(−1/3)
δ12=arccos(−√5/5)
δ20=arccos(−√5/3)
m1δ4+m2δ8+m3δ12+m4δ20=nπ
を考えたいのであるが,(m1,m2,m3,m4)=(1,1,0,0)のとき成り立ってしまうので,δ8=π−δ4より,
m1δ4+m2(π−δ4)+m3δ12+m4δ20=nπ
(m1−m2)δ4+m3δ12+m4δ20=(n−m2)π
これをあらためて
m1δ4+m2δ12+m3δ20=nπ
を考えることにする.
直観的にδ4,δ12,δ20は線形独立に見えるかもしれない.歴史上も,たとえばarccos(√3/2τ)の値が直角と有理比でないことを自明としている論文がみられるが,これでは不備である(不完全な証明).厳密に証明するならば,やはり複素数を使うのがよいだろう.
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