■n次元角錐の高さ(その2)
コラム「和算にまなぶ(その3)」の定理は,4次元にも拡張することできることがわかったが,もうひとつの拡張する方向として,3次元の三角柱と三角錐,五角柱と五角錐にも成り立つことがわかっている.
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n−1次元正単体を底面とし,正単体と同じ長さの辺からなる角錐を側面とするn次元角錐の高さを求めてみたい.
たとえば,1辺の長さが1のn次元正単体の頂点の座標は
(−1/2,−√3/6,−√6/12,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(1/2,−√3/6,−√6/12,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(0,√3/3,−√6/12,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(0,0,√6/4,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(0,0,0,√2/5,・・・,−1/√2n(n+1))
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(0,0,0,0,・・・,1/√n/2(n+1))
で定められる.
計算の便宜のため,ひとつの頂点を原点に移すと,1辺の長さ2の正単体の基本単体の座標は,
ak=√2/k(k+1),k=1〜n
と表すことができる.角錐の高さは(n+1)anで与えられるが,次元をひとつて,n+1次元空間内で考えなければならない.
座標(a1,a2,・・・,an-1,an,H)
と(0,0,・・・,0,0,0)の距離は
(a1^2+a2^2+・・・+an^2+H^2)^1/2=2
したがって,存在可能な空間は
H^2=4−(a1^2+a2^2+・・・+an^2)
=4−Σ2/k(k+1)
=4−2Σ(1/k−1/(k+1))
=4−2(1−1/(n+1))
=2+1/(n+1)>0
座標(a1,a2,・・・,an-1,an,H−2)と(0,0,・・・,−2)との距離は
a1^2+a2^2+・・・+an^2+H^2=4
より,2となる.
したがって,n次元では正単体柱の上に同じ長さの辺からなる正単体を載せた立体の頂点は同じ球面上に存在する.
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