■乙部融朗遺稿集(その18)

 「準正多体胞」をめぐって,かつて4次元の準正多胞体は無限にあるかどうかという議論があったという.3次元における正角柱等に相当するものは除いての話である.もちろん,この答えは有限であり,いくつあるかも正確に数え上げることができる.それでは,次の問題はどうだろうか?

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[Q]3次元空間では正三角形は1つの頂点に5枚までしか集まることができないが,4次元空間ではどうか?

[A]3次元空間の正20面体{3,5}は正三角形が1つの頂点に5枚集まることができることを示している.4次元空間の正600面体{3,3,5}は正四面体が1つの辺に5個集まることができることを示している.

 それでは,正600面体では正四面体が1つの頂点に何個集まることができるかというと,3次元人の感覚では5個というのが常識であろうと思う.

 しかし,この答えは20個なのである.このことから,上限なく集まることができるというのは否定できるが,どこから20個も集まることができるかについては3次元人の感覚を超している.シュレーフリ記号もこの問題には何も答えてくれないのである.

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