■求積の多様性を考える(その25)

 (その23)で正八面体の体積を切頂四面体の体積として求めた.ところで,正八面体は三角反柱でもある.

 1辺の長さが1の正n角形と正方形の側面からなるアルキメデス角柱の底面に対して上面をひねることによって,1辺の長さが1の正三角形の側面をもつアルキメデス反角柱に変換する.その際,断面積は増加するが,高さは減少する.それでは,体積はどうなるのであろうか?

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【1】反角柱の体積

 正n角形の外接円の半径をrとすると

  rsin(π/n)=1/2 → r=1/2sin(π/n)

また,反角柱の高さは

  H^2=1^2−(2rsin(π/2n))^2

 反角柱の高さHt(0≦t≦1)での断面積を計算する.切り口は2n角形になるが,その辺の長さはc=t,d=1−tで周長は常に一定=nであることがわかる.

 それぞれの辺と中心軸との距離は

  c’=(r−rcos(π/n))(1−t)+rcos(π/n),

  d’=(r−rcos(π/n))t+rcos(π/n)

であるから,断面積は

  s=n/2(cc’+dd’)

   =n((r−rcos(π/n))t(1−t)+1/2・rcos(π/n}

 体積は

  v=H∫(0,1)sdt

   =nH{(r−rcos(π/n))/6+1/2・rcos(π/n)}

   =nH/6(r+2rcos(π/n))

ただし,

  r=1/(2sin(π/n))

  H=(1−(2rsin(π/2n))^2)^1/2

   =(1−(1/2cos(π/2n))^2)^1/2

で与えられる.

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【2】体積比較

 それに対して,角柱の体積は

  v0=n/2・rcos(π/n)

で与えられる.

N V V0 V/V0

3 .471405 .433013 1.08866

4 .957001 1 .957

5 1.57869 1.72048 .917588

6 2.33754 2.59808 .89972

7 3.23392 3.63392 .889927

8 4.26796 4.82843 .883923

9 5.43974 6.18183 .879956

10 6.74929 7.69422 .877191

11 8.19664 9.36565 .875181

12 9.78179 11.1962 .873674

20 27.4246 31.5688 .868726

30 61.8828 71.3578 .867218

40 110.124 127.062 .866695

50 172.149 198.682 .866453

60 247.956 286.217 .866323

70 337.548 389.668 .866244

80 440.922 509.034 .866193

90 558.079 644.316 .866157

100 689.02 795.514 .866132

 n=3の場合,反角柱の体積は角柱より大きくなるが,n>3では小さくなるようである.体積比v/v0の極限値が

  √3/2=0.866025

に収束することは簡単に求められる.このことは直観的にも明らかであろう.

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