■一定の幅をもつ立体?(その2)

 今回のコラムではフルヴィッツ・藤原曲線を対称軸の周りで回転させた回転体の体積を求めてみることにします.

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【1】正方形の内転形

 正方形の内転形となるフルヴィッツ・藤原曲線の接線極座標における方程式は

  p(u)=a+bcos(3u)

で表されます.

  p’(u)=−3bsin(3u)

  p”(u)=−9bcos(3u)

  ρ(u)=p(u)+p”(u)=a−8bcos(3u)≧0

より,a=8bとおきます.

  p(u)=8b+bcos(3u)

 また,一定の幅1をもつという所与の条件

  p(u)+p(u+π)=16b=1,b=1/16,a=1/2

より

  p(u)=1/2(1+1/8cos(3u))

で与えられます.

  p’(u)=−3/16sin(3u)

  p”(u)=−9/16cos(3u)

 ここで,

  x=p(u)cos(u)−p’(u)sin(u)

  y=p(u)sin(u)+p’(u)cos(u)

  x’(u)=−(p(u)+p”(u))sin(u)

  y’(u)=(p(u)+p”(u))cos(u)

  V=π∫(9/16,-7/16)y^2dx

   =π∫(0,π)(p(u)sin(u)+p’(u)cos(u))^2(p(u)+p”(u))sin(u)du

 この問題の計算方法を示すのは簡単ですが,数式処理ソフトを用いずに手計算で求めることはかなり大変なので遣り残しておりました.次節では阪本ひろむ氏に計算してもらった結果を示します.

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【2】フルヴィッツ・藤原曲線の計量

 フルヴィッツ・藤原曲線の回転体の体積V,面積S,周長Lを求め,ルーローの三角形の場合と比較してみます.

[1]フルヴィッツ・藤原曲線の場合

  V=π∫(-7/16,9/16)y^2dx

   =π∫(0,π)(p(u)sin(u)+p’(u)cos(u))^2(p(u)+p”(u))sin(u)du

   =16π/105=0.478718

  S=2∫(-7/16,9/16)ydx=2∫(0,π)(p(u)sin(u)+p’(u)cos(u))(p(u)+p”(u))sin(u)du

   =15π/64=0.73631

  L=2∫(0,π)(x’^2+y’^2)^1/2du

   =2∫(0,π)(p(u)+p”(u))du=2∫(0,π)ρ(u)du

   =π=3.14159

[2]ルーローの三角形の場合

  V=π(2/3−1/2arcsin√3/2)

   =π(2/3−π/6)=0.449462

  S=(π−√3)/2=0.70477

  L=π=3.14159

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【3】反例?

 正方形の内転形の周長はすべて等しく,また,面積最小の内転形はルーローの三角形であることが証明されています.フルヴィッツ・藤原曲線の回転体の体積はルーローの三角形の回転体の体積よりも大きいのですが,周長Lが一定のとき

  y≧0,S=2∫ydx,V=π∫y^2dx

  S1>S2 → V1>V2

の反例:V1<V2となる卵形線は存在しないのでしょうか?

  (V1−V2)/π=∫y1^2−∫y2^2=∫(y1^2−y2^2)=∫(y1+y2)(y1−y2)

ここで,m=max(y1+y2)≧0とおくと

  (V1−V2)/π≦m∫(y1−y2)=m(∫y1−∫y2)=m(S1−S2)

より反例は存在しないと考えられます.

 このことはシュワルツの不等式を用いても証明できるかもしれませんので,参考までに掲げておきます.

[定理]2乗可積分な関数f,gに対して,以下の不等式が成立する.

   (∫f^2∫g^2)^(1/2)≧∫fg

(証明)

  ∫(tf−g)^2dx=t^2∫f^2−2t∫fg+∫g^2≧0

 したがって,tを変数とする2次式の判別式

  D=(∫fg)^2−(∫f^2∫g^2)≦0

 等号はg=cf   (c:定数)のとき

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