■乙部融朗遺稿集(その14)
【1】オイラーの多面体定理と星形正多面体
多面体の頂点,辺,面の数をそれぞれv,e,fとすると,
pf=2e,qv=2e
が成り立ちます.さらに,v+f=e+2(オイラーの多面体定理)が成り立ちますから辺の数eは
1/e=1/p+1/q−1/2
v=4p/(2p+2q−pq),
e=2pq/(2p+2q−pq),
f=4q/(2p+2q−pq)
となります.
オイラーは晩年の17年間はまったくの盲目でしたが,それにもかかわらず非常に多くの定理,公式を発見していて,量(v−e+f)はオイラー数と呼ばれます.また,多面体の示性数gは,g=1−(f−e+v)/2で定義されます.
凹型正多面体まで含めると,正多面体は全部で9種類あり,プラトンの立体と呼ばれる凸型5種類の他の4種類は,星形正多面体(ケプラーがみつけた星形小十二面体,大十二面体と約200年後にポアンソがつけ加えた星形大二十面体,大二十面体の4種類)です.星形正多面体は4種類しかないことはコーシーが示しています.
オイラーの多面体定理より,凸多面体に対してはg=0となります.ところが,4種類の星形正多面体のうち,2種類はg=0ですが,残りの2種類はg=4になります.g=4はトポロジカルにいえば穴が4つあるドーナツと同一ですから,g=0のみを星形正多面体と呼ぶべきだとの主張もあります.
なお,同じ大きさの正4面体2個による相貫体<ケプラーの8角星>はダビデの星の3次元版ですが,星形正多面体には加えません.さらに,一様多面体(準正多面体の星形化)は75種類,ザルガラー多面体(すべての面が正多角形である凸多面体)は正多面体,準正多面体を除くと92種類存在します.
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【2】4次元版
4次元正多胞体{p,q,r}についても[1]と同類の式が成り立ちます.
v=4p/(2p+2q−pq),
e=2pq/(2p+2q−pq),
f=4q/(2p+2q−pq)
のp→q,q→rと置き換えることによって,
v’=4q/(2q+2r−qr),
e’=2qr/(2q+2r−qr),
f’=4r/(2q+2r−qr)
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[まとめ]v’,e’,f’はそれぞれ射・葉・吊で,頂点に集まる1・2・3次元面数であると思われる.
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