■マトリョウシカ素数(その11)

【1】1001

 (その4)で述べたように7の倍数であることの判定法はあるにはあるのだが煩わしい.ところで,1001=7・11・13は連続する3つの素数の積になっている不思議な数である.この1001を繰り返して使うと,10進法で7の倍数,13の倍数を判定できる.

 すなわち,整数aがあったとき,1001をどんどん引いていけば最終的には1000以下の整数bになる.この整数bが7の倍数,13の倍数のとき,整数aも7の倍数,13の倍数である.したがって,3桁の整数が7の倍数,13の倍数であることが判定できればよいことになる.

  P=a3・10^2+a2・10+a1

において,

  P=2a3+3a2+a3   (mod7)

  P=a3−a2+a3     (mod11)

  P=−4a3−3a2+a3  (mod13)

[1]3桁の数が7の倍数であるためには2a3+3a2+a3が7の倍数になることが必要十分である.

[2]3桁の数が13の倍数であるためには−4a3−3a2+a3が13の倍数になることが必要十分である.

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【2】1105

  1001=7・11・13

でなく

  1105=5・13・17

についても考えてみたい.

 これは4n+1型素数のはじめの3素数の積である.特別な素数である2を除外して,素数は4で割ると余りが1になるもの(5,13,17,29,37,41,・・・)と3になるもの(3,7,11,19,23,31,・・・)の2種類に分けられます.このうち,4n+1の形の素数は2つの整数の平方の和として表されます.たとえば,

  5=1^2+2^2,

  13=2^2+3^2,

  17=1^2+4^2,

  29=2^2+5^2

しかし,4n+3の形の素数は1つもこのようには表せないのです.

 また,フィボナッチの等式としてよく知られている恒等式

  (a^2+b^2)(c^2+d^2)

=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2

=(ac+bd)^2+(ad−bc)^2

は簡単に確認できます.この公式は2つの整数がともに平方数の和の形をしているなら,その2数の積も2通りの平方数で表されることを示していて,複素数と2平方和問題との関連を示しています.

 このことから,1105は2つの平方数の和で4通りに表せることになる.

  1105=(a^2+b^2)(c^2+d^2)(e^2+f^2)

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