レイリーの定理とは「α,βを1/α+1/β=1を満たす無理数,[]をガウス記号とするとき,2つの数列{an}={[nα]},{bn}={[nβ]}は共通項がなく,併せるとすべての整数1,2,3,・・・を与える.」というものです.
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【1】レイリーの定理
α≦βとすると,仮定からαは区間(1,2)にあることがわかりますが,たとえば,
α=(1+√5)/2,β=(3+√5)/2=α+1=α^2
とき,an,bnの値は
n 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
an 1 3 4 6 8 9 11 12 14 16
bn 2 5 7 10 13 15 18 20 23 26
n 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
an 17 19 21 22 24 25 27 29 30 32
bn 28 31 34 36 39 41 44 47 49 52
n 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
an 33 35 37 38 40 42 43 45 46 48
bn 54 57 60 62 65 68 70 73 75 78
n 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
an 50 51 53 55 56 58 59 61 63 64
bn 81 83 86 89 91 94 96 99 102 104
n 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
an 66 67 69 71 72 74 76 77 79 80
bn 107 109 112 115
これを
n 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
an 1 3 4 6 8 9 11 12 14 16
bn 2 5 7 10 13 15
n 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
an 17 19 21 22 24 25 27 29 30 32
bn 18 20 23 26 28 31
n 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
an 33 35 37 38 40 42 43 45 46 48
bn 34 36 39 41 44 47 49
n 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
an 50 51 53 55 56 58 59 61 63 64
bn 52 54 57 60 62 65
n 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
an 66 67 69 71 72 74 76 77 79 80
bn 68 70 73 75 78
と並べ直すと,2つの数列は共通項がなく,併せるとすべての整数1,2,3,・・・を与えるという意味がおわかり頂けると思います.
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【2】ビーティー数列
レイリーは数列の任意の連続する2項の間には必ずもう一つの数列の項が入り込むことを発見したのですが,この定理は1962年にビーティーにより再発見されたことにより,2つの数列はビーティー数列と名付けられています.
数列{an}がビーティー数列ならば,anの値はa1,a2,・・・,an-1の値から1以内の誤差で決定することができます.a1+an-1,a2+an-2,・・・,an-1+a1の和はすべてvまたはv+1になるからです.また,この和がすべてvならばan=v+1でなければなりません.もし,そうでなければビーティー数列ではないということになります.
たとえば,ビーティー数列1,3,4,6,8,9,・・・において,a1+a1=2よりa2は2または3(実際は3),a1+a2=4よりa3は4または53(実際は4),a1+a3=5,a2+a2=6よりa4は6となります.
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【3】黄金比
白銀比√2に対するビーティー数列も同様に求めることができるのですが,ここでは黄金比(1+√5)/2の性質をもうひとつみてみましょう.
とくに
α=(1+√5)/2,β=(3+√5)/2=α+1=α^2
ならば,
[nβ]=[α[nα]]+1
[α[nβ]]=[nα]+[nβ]
を満たします.
逆に,
[nβ]=[α[nα]]+1
[α[nβ]]=[nα]+[nβ]
を満たすならば,
α=(1+√5)/2,β=(3+√5)/2=α+1=α^2
となります.
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