■ある研究集会にて
京大数理解析研で開催された「準結晶の数学モデルとその周辺」に参加(代表者:秋山茂樹).結晶はすでにやりつくされ終わった学問である,そして遣り残された問題は準結晶にしかないという雰囲気であった.結晶関連で落ち穂拾いをしているわが身にとってはつらいことであるが・・・
仕事の都合上1日しか参加できなかったが,研究会で聞いたぶったまげた話を紹介したい.
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【1】DNAをつかって金属結晶を作る
金属原子(金コロイド?)をDNA(二本鎖)でつなく.DNAの長さは任意の調節することができる.それを脂質二重膜のなかで拡散させると,三角格子ができあがる.角度の調整はできないのでおそらく二次元での最疎被覆構造をとっているのだろう.
このことを多重膜のなかでで行うと単純立方格子,体心立方格子,面心立方格子状に金属原子を配置させることができるのだそうである.
実際,DNAを使って立方体などができているのだそうだ.いずれこの方法で任意の図形を作れるようになるかもしれない.・・・その可能性の高さを感じさせる発表であった.
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【2】3次無理数の連分数展開の周期性
2次方程式の解となる√nの連分数展開を求めると,たとえば
√2=[1:2,2,2,2,・・・]
√3=[1:1,2,1,2,1,2,1,2,・・・]
√7=[2:1,1,1,4,1,1,1,4,・・・]
のように循環型の単純連分数に展開されることが知られています.一般に,2次の無理数(整数係数の2次方程式の解)は周期的な連分数展開をもちます(ラグランジュの定理).
連分数展開を用いて数の集合を定義してみますが,たとえば,正の実数が無限連分数展開され,そのすべての部分商が1または2であるような実数の集合のハウスドルフ次元は0.531280506・・・であることが計算されています.
3次以上の方程式の解,たとえば3√2の連分数展開を求めると,
3√2=[1:3,1,5,1,1,4,1,1,8,1,14,1,10,2,1,4,・・・]
の一般項は求めることができません.この展開に現れる整数に最大値があることも示すこともできないのです・・・と思っていたら,最近の連分数展開アルゴリズムの進歩により,3次の無理数の連分数展開にも周期性の認められるものがかなりあるという講演であった.
周期の長さについては言及がなかったが,おそらく長すぎて簡単に周期だろわかる代物ではないのであろう.それを厭わなければ何かパターンを見つけることができるのである.
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