■4次元の雪と1.26次元の雪(その2)
【1】4次元の雪
菱形12面体が「4次元の雪」と呼ばれるのは,すべての二面角が120°をなす立体という理由だけではない.
[1]平行な辺が4組あり,これより4次元立方体の3次元投影図であると考えることができること
[2]平行六辺形が平面を充填することができるように,菱形12面体は空間充填図形であること,等々.
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【2】1.26次元の雪
正三角形の各辺からその中央の1/3を切り取り,それを補うように正三角形を取り付ける.この操作を繰り返していくことによって得られるのが「コッホ曲線」である.
周長は際限なく増加していくが,その面積は
S=√3/4+√3/4・(1/3)^2・3+√3/4・(1/9)^2・3・4+√3/4・(1/27)^2・3・4・4+・・・=√3/4+√3/12/(1−4/9)=√3/4+3√3/20=2√3/5
したがって,もとの三角形の
2√3/5÷√3/4=8/5=1.6
倍を決して超えないことになる.
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【補】掛谷定数
1917年,掛谷宗一は「長さが1である線分を1回転させるのに必要な最小面積の図形は何か」という問題を提出しました.
この問題は多くの予想を生み出しました.たとえば,デルトイドでは長さが一定の線分をデルトイドに接しながらスムーズに1回転させることができるので,掛谷はデルトイド(面積π/8)が「掛谷の問題」の解であると予想したのです.
しかしながら,2n+1個の尖点と円弧をもち,図形全体が内接している円に直交している星状領域(面積:Sn)を考えると,n→∞のとき
Sn→(5−2√2)π/24<π/11
を示すことができます.この形はフーコーの振り子を何万回もらせたときの形になり,その面積はπ/11よりも小さくなります.
このようにして,単連結となる最小の星状領域は,面積π/8のデルトイドではなく,別の星状図形であることがブルームとシェーンベルグにより発見されました(1963年).→コラム「デルトイドの幾何学(その2)」参照
[まとめ]長さ1の線分を180°回転してもとと重ねることができるような単連結名領域の最小面積として知られている最良の値は
Sn→(5−2√2)π/24(.2842582246・・・)<π/11(.285599)
であり,(5−2√2)π/24は「掛谷定数」として知られています.π/11倍を決して超えないというわけです.
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