■フィボナッチ数のトリック(その8)

 数の三角数分割(ガウス,1796年),すなわち「すべての整数は3つの三角数の和によって表し得る」

  n=△+△+△,△=k(k+1)/2

  7=3+3+1=6+1+0

  8=6+1+1

  9=3+3+3=6+3+0

 10=6+3+1

や,数の平方数分割(ラグランジュ)

  n=□+□+□+□,△=k^2

は有名ですが,あらゆる正の整数はフィボナッチ数の和として一意に表記することができること(ツェッケンドルフの定理)はあまり知られていないようです.

 [参]グラハム,クヌース,パターシュニク「コンピュータの数学」共立出版

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【1】数のフィボナッチ数分割

 フィボナッチ数は漸化式

  Fn=Fn-1+Fn-2

に従って,その前の2つの数の合計として順次計算することができて,

  1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,・・・

となる.

 任意の正の整数nは,それを超えない最大のフィボナッチ数と余りに分割されるが,このとき余りもそれを超えない最大のフィボナッチ数と余りに分割され,任意の正の整数nは一意的に表すことができる.たとえば,

  83=55+28

  28=21+7

   7=5+2

より,83=55+27+5+2となる.

 2進法では,83=64+16+2+1のように隣り合った2のベキ乗がしばしば必要になるが,数のフィボナッチ数分割では,どの2つのフィボナッチ数も隣り合っていないことに注意されたい.「あらゆる正の整数は連続でないフィボナッチ数の和として一意に表記することができる」

 フィボナッチ数系では,

     3=3

     4=3+1

     5=5

     6=5+1

     7=5+2

     8=8

     9=8+1

    10=8+2

    11=8+3

   12=8=3+1

・・・・・・・・・・・

  1000=897+13

  ・・・・・・・・・・・

1000000=832040+121393+46368+144+25=F30+F26+F24+F12+F10

のように,一般に

  n=Fk1+Fk2+・・・+Fkn

で表されるのである(ツェッケンドルフの定理).

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