■判別式(その18)

【1】ワイエルシュトラスの楕円曲線

 y=ax^3+bx^2+cx+dという方程式で定まる曲線はおなじみの3次曲線ですが,yのところがy^2に変わるとワイエルシュトラスの楕円曲線:

  y^2=ax^3+bx^2+cx+d

になります.ただし,a,b,c,dは有理数で,右辺の3次式は重根をもたないものと仮定します.

 楕円曲線をワイエルシュトラス形式に制限しても一般性を失いません.実際,どのような楕円曲線もワイエルシュトラス形式の楕円曲線に双有理的に同値だからです.

 x^2の項の係数はx’=x+b/3aと変数変換することによって簡単に消すことができますから,

  y^2=x^3+ax+b   (4a^3+27b^2≠0)

を楕円曲線と定義しても構いません.4a^3+27b^2≠0は重根をもたないための条件です.

 楕円曲線の例として,y^2=x^3+1をあげますが,この曲線のグラフはまったく楕円ではありません.楕円と楕円曲線はまったく異なるもので,楕円の孤の長さを求める楕円積分問題とかかわっていることから楕円曲線という名前がつけられています.

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