■判別式(その17)

【1】シルベスターの終結式

  f(x)=a0x^n+a1x^(n-1)+・・・+an-1x+an

  g(x)=b0x^m+b1x^(m-1)+・・・+bm-1x+bm

が共通因子をもつための必要十分条件は,n+m次の行列式:Res(f,g)

  |a0 a1・・・an・・・・・・0|

  |0  a0 a1・・・an・・・0 |

  |・・・・・・・・・・・・・・・ |

  |0・・・・・・a0 a1・・・an|=0

  |b0 b1・・・bm・・・・・・0|

  |0  b0 b1・・・bm・・・0 |

  |・・・・・・・・・・・・・・・ |

  |0・・・・・・b0 b1・・・bm|

 よく知られているようにf(x)=0が重根をもつためにはf(x)=0,f’(x)=0が共通根をもつことである.したがって,

  Res(f,f’)=0

は,f(x)=0が重根をもつための必要十分条件条件である.たとえば,

  f(x)=ax^2+bx+c,f’(x)=2ax+b

のとき,

  Res(f,f’)=−a(b^2−4ac)

このように,Res(f,f’)に方程式の判別式が出現するのは当然のことである.

 ちなみに,ワイエルシュトラスの楕円曲線

  y^2=f(x)=x^3+px+q

はy=(xの3次式)のyをy^2に変えたものであるが,このとき

  f’(x)=3x^2+p

  Res(f,f’)=4p^3+27q^2

となる.4p^3 +27q^2 ≠0はこの代数曲線が特異点をもたないための条件である.

 また,5次方程式

  f(x)=x^5+px+q=0

はジラールの標準形と呼ばれるものであるが,一般に

  f(x)=x^n+px+q

のとき

  Res(f,f’)=(-1)^(n-1)(n−1)^(n-1)p^n+n^nq^(n-1)

と計算される.

  n=3のとき2^2p^3+3^3q^2,

  n=5のとき4^4p^5+5^5q^4

というわけである.

===================================