■パラメータ表示の幾何学的な解釈(その4)

【1】一般的な代数曲線表示

 ハイポサイクロイド

  x=(n−1)cosθ+cos(n−1)θ・・・(1)

  y=(n−1)sinθ−sin(n−1)θ・・・(2)

において,(1)^2+(2)^2より

  cosnθ={x^2+y^2−(n−1)^2−1}/2(n−1)

 これでcosnθ,sin^2nθが求まったことになりますが,(1),(2)を以下のように書き換えます.

  x=(n−1)cosθ+cosnθcosθ+sinnθsinθ・・・(3)

  y=(n−1)sinθ−sinnθcosθ+cosnθsinθ・・・(4)

 (3)より

  x−(n−1+cosnθ)cosθ=sinnθsinθ

両辺を2乗して整理するとcosθに関する2次方程式

  {(n−1+cosnθ)^2+1−cos^2nθ}cos^2θ−2(n−1+cosnθ)xcosθ+x^2−1+cos^2nθ=0

が得られます.したがって,cosθを求めるには,nの値に関係なく2次方程式を解けばよいことになります.

  cosθ=α+β^1/2

α=(n−1+cosnθ)x/{(n−1+cosnθ)^2+1−cos^2nθ}

ここで,

  (n−1+cosnθ)^2+1−cos^2nθ=x^2+y^2

ですから,

α=(n−1+cosnθ)x/(x^2+y^2)

β={(n−1+cosnθ)^2x^2−{(n−1+cosnθ)^2+1−cos^2nθ}(x^2−1+cos^2nθ)}/(x^2+y^2)^2

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 これを解いてcosnθ,sin^2nθ,cosθ,sin^2θを(4)に代入すれば代数曲線表示が完成しそうな気がしますが,cosθに現れる根号がじゃまになって簡単にはいきません.そこで,(1)のcosθの次数をn−1次式から1次式まで下げることにします.

 黄金比φを公比とする等比数列

  1,φ,φ^2 ,φ^3,φ^4 ,φ^5 ,・・・

を考えると、1+φ=φ^2ですから

  φ^2=φ+1

  φ^3=φ^2φ=φ^2+φ=2φ+1

  φ^4=φ^3φ=2φ^2+φ=3φ+2

  φ^5=φ^4φ=3φ^2+2φ=5φ+3

とするのと同じ要領で次数を低下させます.なお,黄金比φには多く性質があり、ここで、ガウス記号[x](xを超えない最大の整数)を用いると、数列{[φ^n-1]}の各次数に対応して得られる整数列は

  1,1,2,3,5,8,13,・・・

すなわち、フィボナッチ数列{Fn}となります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

  A=2(n−1+cosnθ)x/(x^2+y^2)

  B=−(x^2−1+cos^2nθ)/(x^2+y^2)

とおくと

  cos^2θ=Acosθ+B

  cos^3θ=cos^2θcosθ=Acos^2θ+Bcosθ

       =(A^2+B)cosθ+AB

  cos^4θ=cos^3θcosθ=(A^2+B)cos^2θ+ABcosθ

       =((A^2+B)A+AB)cosθ+(A^2+B)B

  cos^5θ=cos^4θcosθ=((A^2+B)A+AB)cos^2θ+(A^2+B)Bcosθ

       =(((A^2+B)A+AB)A+(A^2+B)B)+cosθ+((A^2+B)A+AB)B

 また,

  cosnθ=(cosθのチェビシェフ多項式)=Tn,

  sinnθ=sinθ×(cosθの多項式)=sinθ×Gn

と表すことにすると

  x=(n−1)T1+Tn-1=Ccosθ+D=C(α+β^1/2)+D

  (x−Cα−D)^2=C^2β

となって,代数曲線表示が完成します.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 一方,エピサイクロイド

  x=(n+1)cosθ−cos(n+1)θ・・・(1)

  y=(n+1)sinθ−sin(n+1)θ・・・(2)

の場合は,(1)^2+(2)^2より

  cosnθ={x^2+y^2−(n+1)^2−1}/2(n+1)

  x=(n+1)cosθ−cosnθcosθ+sinnθsinθ・・・(3)

  y=(n+1)sinθ−sinnθcosθ−cosnθsinθ・・・(4)

  x−(n+1−cosnθ)cosθ=sinnθsinθ

  {(n+1−cosnθ)^2+1−cos^2nθ}cos^2θ−2(n+1−cosnθ)xcosθ+x^2−1+cos^2nθ=0

α=(n+1−cosnθ)x/(x^2+y^2)

β={(n+1−cosnθ)^2x^2−{(n+1−cosnθ)^2+1−cos^2nθ}(x^2−1+cos^2nθ)}/(x^2+y^2)^2

A=2(n+1−cosnθ)x/(x^2+y^2)

B=−(x^2−1+cos^2nθ)/(x^2+y^2)

となるだけで,あとの計算手順は同じです.

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