■変形するデルタ20面体(その9)
【2】重五角錐の開口関数
重五角錐に1本の切れ込みを入れると,口の開いた重五角錐が得られる.以下の写真は,その高さを減らすように押しつぶすと口の部分が開くというモデルであり,口の開いた重五角錐を2つ作り,両者を口の部分で直角に繋げたものが冒頭の写真である.


一方の開口重五角錐の高さhから開口の大きさwを求める.式はピタゴラスの定理から簡単に求められ,
w=f(h)=(4−h^2)^1/2sin(5arctan(3−h^2)^-1/2)

これは他方の開口重五角錐の高さとなるから,
h=g(w)=(4−w^2)^1/2sin(5arctan(3−w^2)^-1/2)
ここで,2つの開口重五角錐が歪みなしに接合できるための条件は
h=g(f(h)) h:0〜1.05146
である.畏友・阪本ひろむ氏にg(f(h))のテイラー級数を計算してもらったところ,
g(f(h))=.1283+1.74809h^2−1.41097h^4+.488935h^6+.000309535h^8−.248239h^10+.305329h^12−.287315h^14+・・・
となった.

y=x,y=g(f(x))のグラフを描いてみると,交点が3箇所あることがわかる.大雑把に数値計算してみると,
x=0.1424,x=0.6545,x=0.9847
が近似解となる.

これらは不連続であるから体積が連続した値を取りながら変わっていくことはないし,連続的に変えていくには面を曲げたり歪めたりする必要があることを意味している.
同じ長さの辺をもつ体積の異なる多面体の例として,屋根(あるいは床)付きのダンボール箱があげられる.出っ張った屋根を中に押し込めば辺の長さは変わらないのに体積はかなり小さくなる.これは2つの安定した形状をとる多面体の例として日常的によく見られるものである.
それに対して,デルタ20面体は3つの安定した形状をとる多面体となっている.すなわち,A-11さんの主張はまったく正しく「変形するデルタ20多面体」は「折り曲げ可能多面体」ではないのである.
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【3】デルタ20面体の体積
ゴールドバーグのデルタ20面体の設計では,合同な4面体10個の組み合わせでデルタ20面体ができあがるようにみえるが,いざ作ってみると,10個の表面は繋がるのだが,あいだに空洞ができてしまうのである.中央に第11の四面体が必要で,第11の四面体で空洞を埋めると,デルタ20面体ができあがる(10+1).
11個の四面体の辺の長さは1とhで,10個の四面体は1^5hで構成されるが,第11の四面体は1^4h^2である.10個の四面体は長さhの辺に1の辺が,第11の四面体は長さhの辺に長さh辺が対向して直交する四面体であるから,それぞれの体積はオイラーの公式より
a=h,b=1,c=1,d=1,e=1,f=1
v=(h^2(3−h^2))^1/2/6
a=h,b=1,c=1,d=h,e=1,f=1
v=(h^4(4−2h^2))^1/2/6
となる.
したがって,
V={10(h^2(3−h^2))^1/2+(h^4(4−2h^2))^1/2}/6
h=0.142370 → V=0.000672
h=0.654533 → V=0.126589
h=0.984747 → V=0.232001
ゴールドバーグのデルタ20面体の体積はこの変形を通じて一定ではないのである.
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