■変形するデルタ20面体(その3)

【3】ふいご予想の証明

 すべての面を三角形であるとして,辺の長さによる体積公式が存在することが証明されています.それらは公式というよりはある代数方程式の根として得られます.

 多項式はいくつかの異なる解をもちますから,ひとつの解からもう一つの解へと一瞬に体積をかえることができますが,折り曲げに際して多面体は連続的に変形されるので,体積もまた変形のパラメータの連続関数にならなければなりません.しかし,有限個の値しか取らない連続関数は定数でなければならず,体積がいきなり別の値になることはないのです.

 かくして,ふいご予想すなわち折り曲げ可能多面体が面の形を変えずに変形しても体積は変わらないことが証明されています(1997年,コネリー,ワルツ,サビトフ).形状の変わる折り曲げ可能多面体では体積は変化しないのでふいごは風を送れない,ふいごとして使えないという定理が成り立つというわけです.

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【4】雑感

 「変形するデルタ20面体」を初めて模型にしたのはマイケル・ゴールドバーグで,この多面体が3つの安定した形状をとることは既に知られていたようである.彼がこの多面体を発見したのは偶然ではないと思われるが,私はいまたまたま彼の他の論文を読んでいる.この論文もまた非常に面白いものである.別の機会に紹介したいと思う.

 なお,ブリカールは単純な多面体の辺同士を次々と繋げ,その接合部が動く鎖を考え出した.偶数個の正四面体を対辺で繋げると,6個のときは僅かしか動けないが8個以上になると連続して回転できるようになる.22個以上なら結び目を作ることさえできる.→コラム「連続回転する多面体の輪」参照

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