■ケルビン問題(その9)
【2】メディアル多面体
(Q)等周比の点からいえば,5種の正多面体では正4面体が最も球に遠く,正20面体が最も球に近いことになります.それでは,f個の面をもつ多面体の中で等周比の最小値を与えるものは何でしょうか?
(A)答えはf=4,6,12ではプラトンの正多面体,すなわち,正四面体,立方体,正十二面体が最小値をとります.しかし,f=8で等周比の最小値をあたえるものは正八面体ではありません.
フェイェシュ・トートの「配置の問題−平面・球面・空間における−」みすず書房にはf=8で等周比の最小値をあたえるものはアルキメデスの反プリズムとあったと記憶しているのですが,マイケル・ゴールドバーグの論文:
M. Goldberg: The isoperimetric problem for polyhedra, Tohoku Math. J. 40, 226-236(1935)
には四角形4枚,五角形4枚からなるメディアル多面体(4^45^4)が極値を与えることが紹介されています.
等周比
正八面体 187.06
六角柱 187.06
歪重角錐 181.55
4^45^4 180.23
S^3/V^2≧54(f−2)tan(ωf)(4sin^2(ωf)−1)=177.45
同様にf=20も未解決のまま残っていますが,五角形12枚,六角形8枚からなるメディアル多面体(5^126^8)が極値を与えることが紹介されています.
等周比
正二十面体 136.46
5^126^8 133.31
S^3/V^2≧54(f−2)tan(ωf)(4sin^2(ωf)−1)=132.87
これらのことからゴールドバーグは最小値はメディアル多面体(どの面も[6−12/f]角形または[6−12/f]+1角形)のとき達成されると予想しました.f≧12のとき,メディアル多面体の構成は5^126^(f-12)になります.
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[補]アルキメデスの正角柱(Archimedean prism:上下の底面が正多角形で,側面がすべて正方形であるもの)に対して,アルキメデスの反角柱(Archimedean antiprism)とはアルキメデスの正角柱を少しひねって,側面をすべて正三角形にしたものです.
また,元の立体の頂点の数と面の数を互いに入れ替えた立体を双対多面体といいます.正多面体の双対は正多面体ですが,アルキメデスの立体はアルキメデス双対で,たとえば,菱形十二面体の双対多面体は立方八面体です.また,正角柱の双対は重角錐(dipyramid),反角柱の双対はねじれ重角錐(trapezo-hedron)となります.
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