■整数の積(その54)

 数学者ハーディがラマヌジャンに会いに行ったとき,タクシーナンバーが1729という何の変哲もない数であったと彼に伝えたところ,ラマヌジャンはそれは2つの3乗数で2通りに表せる最小の数だと答えたというエピソードは大変有名である.

  1729=12^3+1^3=10^3+9^3

 モジュラ関数

  j(z)=exp(−2iπz)+744+196884exp(2iπz)+・・・

において,

  j(i)=1728=12^3

この性質が次の逸話のもとになっている.

 フレニクルは12^3+1^3=10^3+9^3のほかにも

  9^3+15^3=2^3+16^3

  15^3+33^3=2^3+34^3

  16^3+33^3=9^3+34^3

  19^3+24^3=10^3+27^3

を見つけている.

 その後,方程式

  x^3+y^3=u^3+v^3

  a^4+b^4=c^4+d^4

  a^5+b^5+c^5=d^5+e^5+f^5

  a^6+b^6+c^6=d^6+e^6+f^6

のパラメータを用いた解が見つかっている.

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 エルキースによるオイラー予想の反例

  2682440^4+15365639^4+18796760^4=20615673^4

は,x^4−y^4=z^4+t^2に関する楕円曲線のu=−5/8に対応する最小解であるが,u=−9/20に対応する最小解は

  95800^4+217519^4+414560^4=422481^4

である.

 一般に

  Σa^s=Σb^s

のパラメータ解は,

[1]2≦s≦4,m=2

[2]5≦s≦6,m=3

のときに得られている.

 s=7,m=4あるいはs=5,m=2(a^5+b^5=c^5+d^5)の数値解は知られていなかったが,

  149^7+123^7+14^7+10^7=146^7+129^7+90^7+15^7

が見いだされている.

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 オイラーは,フェルマー予想の条件をゆるめて一般化した問題

『x1^n+x2^n+・・・+xn-1^n=xn^n,たとえば,x^4+y^4+z^4=w^4にも自然数解がない』と予想しました.

 この不定方程式には整数解がないであろうことが長い間予想されていて,モーデルはコンピュータを使ってw<220000の範囲でこの問題は成立することを紹介しています.

 ところが,オイラーの推測からおよそ200年後,コンピュータを使って

27^5+84^5+110^5+133^5=144^5  (1966年)

95800^4+217519^4+414560^4=422481^4  (1988年)

2682440^4+15365639^4+18796760^4=20615073^4  (1988年)

などのオイラー予想に対する反例が発見されました.

 さらに,エルキースにより,x^4+y^4+z^4=w^4には無数の解があることが楕円曲線の理論に基づいて示されました(1988年).

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