■魔方陣の魔法(その2)
奇数次の魔方陣について,(その1)とは別の作り方をしてみよう.
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[1,2,3] [1,2,3] [11,22,33]
[3,1,2]+[2,3,1]=[32,13,21]
[2,3,1] [3,1,2] [23,31,12]
は3次のラテン方陣を組み合わせて,グレコ・ラテン方陣にしたものである.
これを3進法で表したものが3次の魔方陣に対応している.わかりやすいようにでてきた数のすべてから1をひいた後,3進法を10進法に直して1をたすと
[00,11,22] [0,4,8] [1,5,9]
[21,02,10]→[7,2,3]→[8,3,4]
[12,20,01] [5,6,1] [6,7,2]
となり,これで縦の並びも横の並びもその和はすべて15となっている.しかし,対角線の和は15になっていないからこれでは魔方陣とはいえない.
[00,11,22]
[21,02,10]
[12,20,01]
は0から2までの数字を使っている3進法の表である.第1行は00,11,22と並べる.次の行では1位が0→1,1→2,2→0とずらす.5位では0→2,1→0,2→1とずらす.第3行も同じようにずらしたものである.
このようにして与えられた方陣について,2つの行,2つの列を入れ替えたりしても行和・列和に変化はないが,対角線に並ぶn個の数の組合せは変化するから,入れ替えをうまく施すと魔方陣を作ることができる.たとえば,
[4,9,2]
[3,5,7]
[8,1,6]
とすると,これで3次の魔方陣の出来上がりである.
魔方陣は正方形上の数の配置であり,正方形をそれ自身に移す変換(合同変換)は8個ある.
[4,9,2][8,3,4][6,1,8][2,7,6]
[3,5,7][1,5,9][7,5,3][9,5,1]
[8,1,6][6,7,2][2,9,4][4,3,8]
[8,1,6][2,9,4][6,7,2][4,3,8]
[3,5,7][7,5,3][1,5,9][9,5,1]
[4,9,2][6,1,8][8,3,4][2,7,6]
しかし,3次の魔方陣の場合,本質的には中央の升目に5,4隅に偶数が配置されたものただひとつしかないことがわかる.
ちなみに,合同変換に対して移り合うものを同じものとみなすと3次の魔方陣は1個,4次の魔方陣は880個,5次の魔方陣は約2.75×10^8個,6次の魔方陣は約1.77×10^19個あることが知られている.それにしてもこんなに多くの組合せ方があるとは驚きである.
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5次の魔方陣では,0から4までの数字を使っている5進法の表になる.第1行は00,11,22,33,44と並べる.次の行では1位が0→1,1→2,2→3,3→4,4→0とずらす.5位では0→4,1→0,2→1,3→2,4→3とずらす.第3行以降も同じようにずらす.
[00,11,22,33,44]
[41,02,13,24,30]
[32,43,04,10,21]
[23,34,40,01,12]
[14,20,31,42,03]
この表を10進法に直すと
[00,06,12,18,24]
[21,02,08,14,15]
[17,23,04,05,11]
[13,19,20,01,07]
[09,10,16,22,03]
となって,桂馬飛びのような(準)魔方陣ができあがる.
7次でも(奇数次ならば)同様に作ることができるが,偶数時では(残念ながら)同じやり方では作れないのである.
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