1 1 奇数2,偶数0
1 2 1 奇数2,偶数1
1 3 3 1 奇数4,偶数0
1 4 6 4 1 奇数2,偶数3
1 5 10 10 5 1 奇数4,偶数2
1 6 15 20 15 6 1 奇数4,偶数3
パスカルの三角形のn行の奇数と偶数の割合を計算する.n→∞のとき,奇数と偶数の比は0に近づく.
===================================
(Q)(a+b)^nの二項展開の係数は,nが2^k-1の形であるとき,そのときに限りすべて奇数となることを証明せよ.
(A)(a+b),(a+b)^2,・・・,(a+b)^n-1に対して成り立っていると仮定して,(a+b)^nに対しても成り立つことを証明する.
両端の1を除くn-1個の二項係数は
n/1=n,n(n-1)/1・2,・・・,n(n-1)・・・1/1・2・・・(n-1)=n
これらがすべて奇数であるための必要十分条件は
[1]両端のnが奇数であること
[2]残りの数の分母、分子から奇数を取り去って作られる数が奇数であることである.
n=2m+1とおけば,これらの数は
m/1=m,m(m-1)/1・2,・・・,m(m-1)・・・1/1・2・・・(m-1)=m
で表される.m<nであるから,このm-1個の数はmが2^k-1-1の形であるとき,そのときに限りすべて奇数となる.
n=2m+1=2(2^k-1-1)+1=2^k-1
より,QED.
===================================
[1]n=pのとき,nCmはpの倍数である
両端nC0=nCn=1ですから,両端以外のnCm(1≦m≦n-1)について考えます.n=pのとき
pCm=p!/m!(p-m)!
1≦m≦p-1,1≦p-m≦p-1より,分母は素因数pを含んでいない.よって,pCmはpの倍数である.
[2]n=2^kのとき,nCmは偶数である
(a+b)^2=a^2+{係数が偶数の項}+b^2
{(a+b)^2}^2=a^4+{係数が偶数の項}+b^4
{(a+b)^4}^2=a^8+{係数が偶数の項}+b^8,・・・
数学的帰納法より,nCmは偶数である
[3]n=2^k-1のとき,nCmは奇数である
[2]より,n+1Cmは偶数である.
n+1Cm=nCm-1+nCm
1+nC1=偶数→nC1は奇数
nC1+nC2=偶数→nC2は奇数,・・・
よって,nCmは奇数である.
さらに,nCmがすべては奇数になるのは,n=2^k-1のときに限るというのが冒頭の命題です.実際,他の行には偶数があるのですが,
[4]n=2^kのとき,両端以外のnCm,2^k-1個はすべて偶数である
[5]n=2^k+1のとき,真ん中のnCm,2^k-2個はすべて偶数である
[6]n=2^k+2のとき,真ん中のnCm,2^k-3個はすべて偶数である
・・・・・・・・・・・・・・・
[7]n=2^k+1-2=2^k+2^k-2のとき,真ん中のnCm,2^k-(2^k-1)=1個はすべて偶数である
[8]nCmがすべては奇数になるのは,n=2^k-1のときだけ
ということになります.
===================================
【まとめ】
nCm(m=0~n)がすべては奇数になるのは,n=2^k-1のときに限る.さらに,k>1に対してnCm(m=1~n-1)がkで割り切れるための必要十分条件は,kが素数であって,n=k^mの形に書けるときに限る.
===================================